中学受験 【一科型】入試ってどうなの?

西村則康近影

西村則康 名門指導会代表

40年以上、難関中学・高校受験指導一筋のカリスマ家庭教師。
「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーションをアドバイス、コーチング手法も取り入れ、親子が心底やる気になる付加価値の高い指導を行う。

目次

1科型など特殊な入試が増え始めている
算数が得意な男子のために入試から採用が始まった
算数以外の1科型入試も
1科型入試で合格するために求められるもの

雨もようが続いていましたが、桜も咲き始め、ぐんと暖かくなってきました。

中学受験生の皆さんは体調に気をつけて、元気に4月を過ごしてくださいね。

1科型など特殊な入試が増え始めている

さて、先日、光塩女子学院中等科のホームページで、来年度(2025年)入試から算数の【1科型】入試を導入することが発表されました。

算数の筆記試験のみで合否判定をするこの試験は、これまで行っていた4科型・総合型に加えての新設試験で、来年度からは計4回、試験が実施されることになります。(公式サイトはこちら

このようないわゆる【特殊型】の入試選抜方式を導入する中学校は増加傾向にあり、中学受験の試験形態は年々多様化しています。

30年ほど前は2科から4科へ、などと、偏差値の上がってきた進学校がこぞって入試科目を増やしたものですが、現在はその逆で、首都圏の難関校でも(主に算数の)【1科型】入試や、科目横断型の【総合型】入試を新設しているのが特徴です。

たとえすべての能力・学力がまんべんなく長けているわけではなくとも、その人の突出した能力や学力を進んで評価しようという動きは社会でも広まっていますから、そのうちこのような試験も、特殊とも何とも言われなくなっていくのでしょうね。

今日は、そんな【特殊型】の中でも中学受験生の皆さんが比較的チャレンジしやすい【1科型】入試についてお話します。

算数が得意な男子のために入試から採用が始まった

中学受験生の中では、男子の方に算数で突出した好成績を叩き出す生徒が多い傾向があります。

【1科型】入試はそのような需要に応えた形もあり、男子校の算数【1科型】入試新設から人気が高まっていきました。

最初にこの方式を導入したのは1994年の攻玉社で、ここに拍車をかけたのが巣鴨や世田谷学園、高輪学園といえるでしょう。

このように難関男子校での【1科型】入試新設が火付け役となり、やがて啓明学園や栄東などの共学、女子校でも品川女子学院や大妻中野から始まり田園調布学園、富士見、湘南白百合学園、三田国際学園、普連土学園、開智日本橋、品川女子学院などと急速に広まっていきました。

算数以外の1科型入試も

【1科型】の対象科目は今も算数がメインですが、近年は山脇学園、東京女子学園のように国語や英語を選択できる学校も増えています。

また、英語では【1科型】入試といえば帰国子女のみが対象であることがほとんどでしたが、近年はこちらも多くの生徒に門戸が開かれており、英語にまつわる資格の取得が受験資格や得点と同等の扱いとなる場合もあります。

「これだけは誰にも負けない!」という際立った得意科目を持つ生徒さんにとって、【1科型】入試は、対策に必要な教科が絞れることで負担を軽減できるメリットはもちろん、併願校の合格手段として取り入れることで、本命校の対策に割ける時間を捻出できるメリットもありますし、栄東中学校や駒込中学校のように特待生枠として募集をかけているところでは合格後授業料が(一部ないしは全額)免除されるというメリットもあります。

ぜひ受験校検討の際にはひとつの選択肢として考えてみてください。

1科型入試で合格するために求められるもの

ただし、受験生が多くの恩恵を受けるのと同時に、もちろん学校側にも【1科型】入試によって既存の4科入試では取りこぼしかねない優秀な生徒が獲得できるという大きなメリットがあります。

そのような大目的があるわけですから、その分4科受験にくらべて【1科型】受験の試験内容は非常にレベルが高かったり、例えば試験科目名は「算数」であっても、長い文章を正確かつスピーディーに読み解く力、グラフなどを鋭く正確に分析する力など、総合力が求められるようなタイプもあります。

英語では試験方式も筆記の他に、ネイティブの試験監督との面接や英語による会話、生徒でチームを組んでのディスカッション、グループワークが課されるなど、学校の方針によって試験形態も多岐にわたります。

ですから、【1科型】受験を考える際には「算数が得意だから」「英語が得意だから」と安易に科目のみで判断せずに、学校説明会やホームページで過去の入試問題や情報を入手し、その内容や傾向をじっくり確かめることを忘れないようにしてください。

その上で自分(もしくはお子さん)にその試験が合っていそうか、4科と併願するのか2科と併願するのか、どのように対策していけば良さそうかなどをよく検討し、早いうちから合格に向けた戦略を練っていきましょう。

毎日がんばっている皆さんが、来年の今頃満開の笑顔で春を迎えられることを祈っています。

       

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