目次
先生の方を見て話を聞くのはなぜか
口元を見ると話がよく分かる!?
話を最後まで聞く理由は「話す方がその前提で話しているから」
6年生の夏期講習は「アウトプット中心」だからこそ準備が重要
夏休みが近づいています。あと1月足らずで、夏期講習が始まりますね。
新著「『受験で勝てる子』の育て方」の中で「6年生の1学期までインプット期間」と書いたのですが、4年生、5年生も、夏休み期間はインプットとアウトプットのバランスが難しくなります。
塾では1週間に1つの単元を進むのが通常の進度ですが、夏期講習になると1週あたり2〜3 単元のスピードで進むことになります。
ふだんの2倍以上のスピードで 学習サイクルが回っていくので、まずは授業で最大限、先生の話を理解するように努めなければなりません。
新著でも授業の聞き方について詳しく書いたのですが、 実はこれは、名門指導会 副代表の辻義夫先生が話しておられるのをセミナーなどで聞き、私自身「 なるほど」と思ったからです。
辻義夫先生とはセミナーやインスタライブなどでよくご一緒するのですが(書籍の共著もあります)、私自身も学ぶことが多い時間となっています。今回は、そんな辻先生のお話から私自身が学んだことを、いくつかお話ししたいと思います。
先生の方を見て話を聞くのはなぜか
私もこれまでよく「先生の顔を見て聞くんだよ」「 先生が話し始めたら 手を止めて先生の方を見るんだよ」ということを お子さんたちに伝えてきたのですが、それがなぜなのかをあまり強く子どもたちに伝えたことがなかったように思います。
辻先生はその理由を、ご自身の経験をもとに丁寧に子どもたち、親御さんたちにお話ししていたのです。
先生の方を見て話を聞くとよくわかる理由。
それは、音声だけでなく視覚からの情報も活用して理解するためです。話している人(授業では先生)は、話だけでなく、目線や表情、ゼスチャー、身振り手振りを活用して伝えようとしているからですね。
お子さんたちには「先生の表情や仕草を見ながら聞くとわかりやすいよ」と伝えてあげるといいですね。
口元を見ると話がよく分かる!?
授業の聞き方のお話の中で辻先生が「先生の口元を見て話を聞くといいよ」とお話しされていたのも印象的でした。
彼はよく「寄席」を見に(聞きに)行くのだそうですが、登場する噺家の方の中にも新人の方がいたり、真打ちクラスの超ベテランもいます。
寄席では基本的に、経験の浅い方から順に最後の「トリ」は師匠クラスになるのですが、 前半を聞いているときには、彼自身が話者の方、特に口元を無意識に見よう見ようとしているのに気づくのだそうです。
それが真打ちクラスになると、 全く口元を見ずに目を閉じていても、ありありと情景が浮かんでくると言います。実は授業も「ライブ」です。先生によって話が流れるように頭に入ってくるようなケースもあれば、滑舌があまり良くなかったり聞き取りにくいこともあります。そんな時に口元をよく見ることで、相手が何を話しているかがよくわかると辻先生はいいます。
この話をぜひ、お子さんたちの夏期講習が始まる前にお伝えいただければと思います。
話を最後まで聞く理由は「話す方がその前提で話しているから」
「先生の話を最後まで聞きなさい」 ともよく言われますが、やはり 辻先生はその理由を子どもたちや親御さんたちに丁寧に伝えています。
辻先生によると、先生の話を最後まで聞く理由は「最後まで聞くとわかるように先生が話しているから」「 授業がわからなくなってしまう生徒は『わからない』と思った瞬間から先生の話の続きを聞くことができなくなって、ますますわからなくなってしまうから」とのこと。
こちらも「 なるほど」と思ったのですが、話している方は「最後まで聞いてもらう前提」で話している一方で、あるところで「わからない」と思った生徒はパニックになり、その後の話を聞くことができなくなってしまうというのは、話している側からすると盲点になる部分です。
だから辻先生は授業中、子どもたちに「先生は最後まで聞いてくれたらわかるように話しているので、もし途中で『わからない』と思っても、最後まで話を聞いてほしい」と話していたそうです。
これは子どもだけでなく、教える仕事に携わっている多くの方に参考にしていただける話ではないかと思います。
6年生の夏期講習は「アウトプット中心」だからこそ準備が重要
さて、6年生の夏休みは これまで以上に「アウトプット」が重要な学習スタイルになります。 つまり「 必要なことは これまでに全て習ってしまっている」という前提で、まず問題を解くところから授業が始まるのです。
問題を解いて解説を聞く中で、自分が忘れていたことや抜けていた知識を拾い出し、穴埋めすることで学力を完成させるというスタイルの授業になっています。
だから、基礎知識や基礎的な学力が大きく不足している状態で臨むと、せっかくの問題演習の時間が無駄になってしまいます。「ほぼ問題を解けない状態で解説だけを聞く」というような授業の受け方になってしまうと、多量の学習内容をしっかり 定着していくことがとても難しくなります。なぜなら6年生の夏期講習は長時間であり、家庭での定着に時間をかけることが難しいからです。
6年生のお子さんはこのことを念頭に、夏休みまでに基礎知識や基礎的な学力を底上げしておくことを意識して、ここからひと月の期間を過ごしていただければと思います。
梅雨入りし、じめじめした天候が続きますが、体調に気をつけつつ皆さんがしっかり夏に備えて準備されることをお祈りしています。
受験で勝てる子の育て方
西村則康 著
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