低学年の夏休みに親ができること。先取り学習より実体験を重視するべき

西村則康近影

西村則康 名門指導会代表

40年以上、難関中学・高校受験指導一筋のカリスマ家庭教師。
「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーションをアドバイス、コーチング手法も取り入れ、親子が心底やる気になる付加価値の高い指導を行う。

子どもが低学年で、将来的に中学受験を考えているご家庭に向けて、有意義な夏休みの過ごし方をアドバイスしていきます。低学年の夏休みにしかできない「中学受験の準備」はあるのでしょうか。

目次

1.低学年の夏休みにしかできないこと
2.夏休みの「朝の散歩」
3.美術館や博物館にお出かけ
4.子どもだけで参加するキャンプ
5.学年別、読書感想文や日記のポイント
6.中学受験に役立つ、本の読み方とは
7.お手伝いは自由研究の良い題材になる
8.「もっと知りたい」という気持ちを伸ばす

1.低学年の夏休みにしかできないこと

なんとなく中学受験を考えているご家庭では「高学年になって慌てないように今からしっかり勉強させなければ」と考える親御さんもいるかもしれません。
でも、低学年のうちは先取り学習よりも、さまざまな「実体験」をさせることが大切です。

2.夏休みの「朝の散歩」

夏休みにはぜひ、朝と夜の時間を大切にしてほしいと思います。
共働きのご家庭でも比較的時間を取ることができるのではないでしょうか。
たとえば、お子さんと一緒の「朝の散歩」を夏休みの習慣にしてみてはいかがでしょうか。
忙しい日常の中では、なかなか子どもとゆっくり話をすることができません。
横に並んでのんびり歩きながら同じ景色を見ることで、自然にお互いに共感を求める会話ができるのではないでしょうか。
低学年の子どもは、まだ経験値が低く、自分の知っていること以外のことを答えることができません。
でも今後国語などで出題される情緒的な内容は、過去に体験があると想像力を働かせることができます。
子どもの身体感覚を伸ばすためにもぜひさまざまな「実体験」をさせてあげてください。
親が「こうなんだよ」と教えてあげることで、子どもの世界が少しずつ広がっていくでしょう。

3.美術館や博物館にお出かけ

 もし時間に余裕があれば、美術館や博物館にお出かけするのもよいですね。そのときに、まず事前に「下調べ」をして、見たいものを決めておくなど展示物に対する興味を引き出しておきましょう。実際に訪れて実物を見ることで、事前のイメージとのちがいを感じたり、説明文から新しい知識を得ることのおもしろさを子どもは感じるでしょう。
そのときに大人も一緒におもしろがって興味を持つと、さらに子どもの興味は強くなるかもしれません。親のリアクションはとても大事なので、一緒に楽しむことを心がけるといいですね。

4.子どもだけで参加するキャンプ

一方、親と離れることで得られる経験もあります。
たとえば子どもだけで参加するキャンプなどでは、親から離れて過ごすことで自分とはちがう考えを持つ人がいることを知ることができます。他人にはちゃんと話さなければ伝わらないということを実感するでしょう。
またキャンプを通して「本物の自然」を知ることで、興味の幅が広がったり、今後の理科や社会への関心につながるかもしれません。

5.学年別、読書感想文や日記のポイント

どちらも夏休みの宿題の定番ともいえるものですが、書き方のポイントをおさえることが中学受験の準備につながります。学年別にご説明します。

1年生

読書感想文は、なにが書いてあったかのあらすじを書くようにしましょう。
日記はその日にあったことをそのまま書くことができれば大丈夫です。

2年生

読書感想文も日記も、あらすじやできごとに加えて「自分の気持ち」を書くとよいでしょう。
「〜になってよかったと思いました」「〜して楽しかったです」など。

3年生

さらに「他人の気持ち」を想像して書けるようになるといいですね。
たとえば読書感想文なら主人公の気持ち、日記なら友達や家族などが思うことを意識しながら書くことです。
「〜はうれしかっただろうなと思いました」などですね。

6.中学受験に役立つ、本の読み方とは

中学受験に出題される物語文は、情景や描写が登場人物の心情を象徴している文章が多く、ていねいに読み解くことが求められます。
でも低学年で本の好きな子の中には、とにかく物語の展開を楽しんで読むだけで、細部を鑑賞せずに読み飛ばす子も少なくないようです。
そこで、夏休みのあいだに「ていねいに本を読む」習慣をつけましょう。
1年生のうちは音読がおすすめです。言葉を省かずに読むことで、細部まできちんと読む習慣がつきます。
また耳から入るので、文章のリズムを体感できます。
2年生ごろからは黙読に移行するとよいですが、個人差があるのであまり急がないことが大切です。

7.お手伝いは自由研究の良い題材になる

夏休みの研究は、ある程度、結果がわかっているものがよいと思います。
夏休みの自由研究をテーマにしている本などを参考にするのもいいですが、その本の内容をなぞっているだけでは研究とはいえません。
どこかにオリジナルの要素を入れるようにしましょう。
家のお手伝いを、自由研究の題材にすることもできます。
低学年の研究なら「片栗粉をお湯に入れたらとろみがついた」というものでもよいでしょう。
ほかにも洗濯や掃除、庭いじりなどのお手伝いも題材になるのではないでしょうか。
ここで大事なのは、「親子で取り組むこと」です。
親が楽しそうに調べたり取り組んでいるとに、子どもも乗ってくるのではないでしょうか。
「知らないことを知るって楽しいな」と感じることができれば、それだけで夏休みの大きな収穫となるでしょう。

8.「もっと知りたい」という気持ちを伸ばす

中学受験に大切なのは「もっと知りたい」という好奇心や気持ちです。
勉強で忙しくなる高学年の前に、ぜひこの気持ちを伸ばしてあげましょう。
そのいい機会でもある夏休みに、親子で楽しく取り組むことを見つけることができるといいですね。

       

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