【サピックス・日能研・四谷大塚・早稲田アカデミー】学年別・秋の算数の学習ポイント

西村則康近影

西村則康 名門指導会代表

40年以上、難関中学・高校受験指導一筋のカリスマ家庭教師。
「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーションをアドバイス、コーチング手法も取り入れ、親子が心底やる気になる付加価値の高い指導を行う。

目次

高学年の算数の基盤となる4年生
比の学習でパラダイムが変わる5年生
志望校対策と過去問で得点力をつける6年生

夏休みが終わり、2学期が始まりました。

各学年、年度の後半は学習内容のレベルはぐっと上がってきます。

この記事では、学年別に年度の後半の算数の学習で気をつけたいことをお伝えします。

高学年の算数の基盤となる4年生

4年生の後半に、 四谷大塚、早稲田アカデミーでは速さの基本、割合の基本を学習します。
5年生で本格的に詳細に 学習をする分野ですが、4年生ではまず速さ、割合の基本的な意味、イメージを掴んでおくことが大切です。

また図形では、円とおうぎ形・多角形の性質など基本的な図形の性質を整理して覚えておく必要があります。
立体についても 立方体と直方体、円すいや角すいまで学習しますから、これらの図形も特徴をしっかりとおさえておきたいところですね。

比能研でも、4年生の後半に速さの基本を学習します。
また速さを表すグラフ(進行グラフ)も 学習しますので、グラフの傾きや縦軸・横軸が何を表しているかを理解する必要があります。

9月から10月にかけて、比能研だけでなく四谷大塚・早稲田アカデミーでも場合の数の基本を学習します。
基本的には樹形図を書いて確かめるところからのスタートですが、それらが 計算に結びついていくところを確実に理解しておく必要があります。

場合の数の問題については、入試問題でも「 手を動かしている間に規則性が見つかる」といったスタイルの問題が多いですから、この時期に手を動かして学習しておくことが大切になります。

学年の末には立体の体積や 表面積も学習します。
理解することはもちろんなのですが、実際に体積や表面積の複雑な計算を集中してこなし、 正しい答えを出すというところまでクリアしておきたいですね。

サピックスはあらゆる 塾の中でも最も進度が早い塾になりますが、約数と倍数については1学期に1回、そして夏期講習でも学習しています。
この考え方を使って分数の通分、たし算やひき算といった計算にもずいぶん習熟した状態で4年生を終えることになります。

逆に 割合に関しては、関連した事柄が出てくる回もあるのですが、本格的に学習するのは5年生になります。
速さに関する授業は4年生で1回、こちらも速さの基本的な考え方や意味を4年生でしっかり身につけて、使いこなすための詳細な学習は5年生になります。

講習会でもあまり同じことを繰り返さず、効率よく進んでいくカリキュラムになっているため「 積み残し」が多く出ていると自覚している場合は、比々の家庭学習で過去単元の復習を少しずつでも積み上げていくことが非常に大切になります。

比の学習でパラダイムが変わる5年生

5年生後半の算数で最も大切になるのは、比に関する学習です。
塾によって若干の進度の違いはありますが、たとえば 四谷大塚であれば夏期講習で学んだ比の概念をどんどん応用して学習を進めていくのが5年生の後半になります。

比の考え方を使って図形の問題、速さの問題、仕事算などの文章題、そして水槽の水位の問題なども解いていきます。

日能研は大手の4塾の中で最もカリキュラムの進度が緩やかな塾となっていますが、10月から比の学習が始まり、以降は 図形の問題や文章題、そして 速さや水位の問題など、多塾と同じように比の考え方を駆使する学習が続いていきます。

サピックスの5年生は、夏期講習までで比と割合の問題については、基本的な学習を一通り終えています。
2学期からは旅人算や 流水算・ 通過算・時計算などの速さに関する文章題、比を使って図形の面積を考える問題、倍数算や相当算など割合に関連した文章題など、こちらも比を使った学習のオンパレード です。

例えばこれまでは小数や分数を使って「◯◯倍」の計算をする必要があった問題を、比の考え方を使うと整数だけで解いてしまうことができます。

つまり比を使いこなせるかどうかで、作業の正確性や 速さ、そしてかかる労力など全てにおいて大きな差がつくようになります。

このことを心に留めて、比の学習に最大限の力を注いでいただければと思います。

志望校対策と過去問で得点力をつける6年生

6年生の秋は、どの塾に通っていても最も重要なのは志望校対策です。

学習の軸は3つ。

これまで通り平日に行われる 平常授業、そして日曜に行われる志望校対策の特訓授業、そして家庭で行う過去問演習です。

日曜特訓のコースにお子さんの第一志望のコースがあり、そのコース所属しているなら、日曜特訓の授業と宿題が最優先になります。
資格などの関係で第一志望校のコースに所属していない場合や、第一志望校のコースがそもそも設定されていない場合などは、最優先は家庭での過去問演習になります。

志望校への対策に直結するという意味で、上記の日曜特訓と過去問演習はどちらも大事なのですが、逆に平常授業はこれまでよりもぐっと優先順位が下がります。

平常授業に関しては、授業の中で最大限に理解を深め、家庭学習は日曜特訓の宿題や過去問演習を中心に行う、というスタイルで学習を進めていくといいでしょう。

ただし、理解社会などで基本的な知識が不足している場合は、平常授業での基本事項の復習を大切にしましょう。
「コアプラス」や「四科のまとめ」など、塾で指定されている暗記用教材を使って、平常授業の前に「一問一答」的な知識を一通り確認してから授業に臨むなど、基本知識を充実させることにも力を注いでいただきたいと思います。

苦手分野の克服や対策に関しては、できるだけ10月くらいまでにすませてしまいたいところです。
11月くらいからはむしろ点を取れる分野でしっかり入試問題での得点力をつけていく、というスタイルの学習に切り替えていきましょう。

以上、学年別に秋の算数の学習についてお伝えしてきました。

学校行事なども多く忙しい時期にはなりますが、しっかり算数の学力と得点力をつけていってください。

皆さんが秋の学習で大きく力をつけてくれることを祈っています。

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