目次
1. ご家庭でお子さんが自発的に学習しやすい状態をつくるには(後半)
2. 学習のPDCAづくりと運用について
3. チェックは「できていないことの指摘」だけにならないように
4. 親子で無理のないPDCAを心がける
前回の記事「子どもが自発的に学べるようになるには(前半)」では、「ご家庭でお子さんが自発的に学習しやすい状態」作りに注力していただきたい、ということをお話ししました。
今日は、もう少し具体的な例や、注意したい点をお伝えしていきたいと思います。
1. ご家庭でお子さんが自発的に学習しやすい状態をつくるには(後半)
姿勢良く机に向かえているか。(①②は前半の記事を御覧ください)
ダイニングテーブルで勉強する場合、ライトの色や明るさ、いすの高さには気をつけてあげてください。
ライトは多くのリビングで採用されている暖色系のものより、白色系の方が勉強に向きます。
可能であれば勉強の際は切り替えてあげると良いでしょう。
椅子は座面が低すぎず、足がぶらぶらしないように調整してあげてください。
ぴったりな椅子がすぐ用意できない場合は、クッションや踏み台で対処するのでも大丈夫です。
2. 学習のPDCAづくりと運用について
④『PDCA』に注意。
この頃多いのが、保護者の方(特にお父さん)がこのメソッドにこだわり過ぎるケースです。
少し長くなりますが、大切なことなのでお伝えさせてくださいね。
PDCAとはご存知のとおりPlan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)のサイクルを繰り返すことで仕事を改善・効率化する手法です。
このメソッドは実社会で働く親御さん世代には業務の改善・効率化に非常に有効かもしれませんが、子どもの学習にそのまま取り入れるのは考えものです。
まずPですが、子ども自身が学習の1週間なり1ヶ月なりのプランニングをするのは(特に低学年では)難しいので、大概は親御さんがその土台を作ることになります。
しかし、そのプランが無謀なことが多いです。
特に普段お子さんと一緒にいる時間の少ないお父さんは「60分算数の予習」などと長時間の項目を次々に作ったり、「計算ドリル5分、つるかめ算演習15分、円周率10分……」などと5分刻みの計画を練りがちです。
しかし実際子どもというのは集中力がそんなに保ちませんし、大人のように瞬時に頭を切り替えて次々課題をこなすことも困難です。
また、お子さんと普段から接している方は肌感覚でお分かりになると思いますが、子どもには課題と課題の合間にはボーッと休憩して頭を切り替えたり、休めたりする時間も必要なのです。
大人の仕事では無駄なく効率良く、そして決めたことは絶対、が基本ですが、それをそのまま子どもの学習に持ち込み、出来なければ厳しく叱責するやり方は、お子さんが「自発的に学習」したくなる環境からはほど遠いものです。
3. チェックは「できていないことの指摘」だけにならないように
そしてCのチェックでは、お子さんの出来なかったこと、出来ていないことだけを指摘しないように気をつけてあげて欲しいです。
チェックの際には「出来たこと」も併せてチェックし、認め、褒めてあげてください。
注意されてばかり、怒られてばかりでは、まだ小学生であるお子さんのやる気はどんどん削がれます。
さらには注意されたくない・怒られたくないがために、やがて答案を書き写したり、時間内に終わらせることが目的にすり替わりやっつけ仕事をし始めたりしてしまうことも追い詰められたお子さんにはよく起こる問題です。
ですからCでは、何よりもモチベーションを維持することを重視し手いただけたらと思います。
学習を終えたら、終わった項目に蛍光マーカーで印をつけるなど、クリア出来たことを“見える化”し、お子さんが達成感を得られるように工夫してあげる方法もおすすめです。
ぜひ「褒めるためのC、責めないC」という意識で、出来ていないところがあったときも
「どうしたらできるようになると思う?」
「どうしてこの問題を間違ってしまったのかな?」
「どうしたら次からこういう間違いをしないように出来そうかな?」
などと声がけしてあげてほしいと思います。
自分の尊敬する大好きな大人が自分に解決法をたずねてくれることを、子どもは思いのほか大いに喜んでくれるものです。
是非優しい表情で声がけし、お子さん自身に考えさせてあげてくださいね。
そしてお子さんが答えを見つけた際には、
「そうだね!数字を綺麗に書いていたら、きっと間違わずに解けたよね。よく気づいたね」
「なるほど、途中式を書けば良かったのか。それは良い方法だね!ところで今回は問題文に出てくる数字の単位によく注目できていたね。そこはとても良かったよ」
などと褒めてあげてください。
4. 親子で無理のないPDCAを心がける
以上を踏まえた上でお子さんの学習にPDCAを取り入れる場合には、Pでは「どれくらい、何をやるか」よりも、「どのようにやるか」を重視し、その上で、「それならばどれくらい、何ができそうか」という順序でプランを立てていくと無理の無い計画が立てられます。
その際、課題の量や問題の取捨選択に関しては、普段からお子さんの勉強をそばで見ている人に助言を求めるのがおすすめです。
また、たとえプランの土台を作ったのが保護者の方だとしても、最終的にはそのプランを「お子さん自身が決めた」という演出をすることも、お子さんの意欲を引き出すのにとても効果的です。
繰り返しになりますが、近年大人社会のPDCAをそのまま用いた学習法を強いられたためにやる気を失ってしまった受験生をたくさん見かけ、残念に思っています。
そのためこちらに関するお話が長くなってしまいましたが、私がお伝えしたいことは突き詰めれば、「お子さんを気持ち良く学習させてあげてほしい」ということに尽きます。
たくさん褒め、ちょうど良い距離感でそっと見守り、お子さん自身の考えや決断を大切にし(難しい場合は、保護者の方の決断をお子さん自身が納得し、自身で選んだと思える演出を心がけ)、ぜひ自ら学びたくなる意欲を育ててあげてください。
このような寄り添い方はじれったく、寄り添う側にも多大な忍耐力が要求されますが、ノリノリで意欲的になったお子さんの目を見張るほどのがんばり、学習力の飛躍的な伸び、学びを楽しむ嬉々とした姿を見ることは、その苦労に見合った以上の感動を皆様に返してくれることと思います。
是非そんなお子さんの変化を楽しみに、ご家族で協力して「自発的に学べる」環境づくりにトライしていただけたら嬉しいです。
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