目次
まわりの子は偏差値を上げたのに…
希望と自信を持ち続けながら受験に挑むために
「◯◯中学校に合格できなければすべてが無駄」ではない
秋になり夏休みの成果がはっきりし始めると、毎年6年生の中から「中学受験をやめた方が良いか」と相談に来る人が現れます。
まわりの子は偏差値を上げたのに…
「周りはぐっと偏差値を上げたのに自分は変化なし」
「偏差値やクラスが落ちてしまった」
などのキッカケで自信をなくし、受験勉強に前向きになれなくなってしまったことが主な原因です。
その他の理由としては、
「今の成績ならば、あえて外部受験するより既に通っている私立小の併設中学校へそのまま内部進学した方が、偏差値的に見ても“お得”と判断しました」
「うちの地元は公立高校のレベルが高かったので、とりあえず公立中学に進学して、高校受験で難関公立高校を狙うことにします」
というケースも多いです。
これらの場合は、いくつか考えられる進学先から将来性を見据えてより有利な進学先を選ぶわけですから、どちらかと言えば前向きな進路変更と言えるでしょう。
(もちろんここで受験を中止せず、一層奮起し、より高みにトライする決意をするのも素晴らしいと思います)
しかしながら、前者のように単純に生徒さんの“気持ちが切れてしまって“中学受験を諦めるのはいささか残念ですし、その気持ちに対して、親御さんは長ければ4,5年に渡りサポートを続けてきたこともり、なかなか諦めがつかないものです。
もちろん本人のモチベーションが上がらなければ本番までの残り数ヶ月が虚しく無意味なものになるだけですし、無理に続けても結局のところ年末あたりに親御さんともども気持ちが切れてしまい、
「だから僕はあの時やめたいと言ったのに!」
「もともと受験したいと言い出したのはあなたじゃないの!最後までやりなさい!」
「こんな成績じゃどこにも受からないから今すぐやめろ!時間と金の無駄だ!俺は最初からこうなると思っていたんだ」
などと、家じゅうで罵り合いになってしまうことも少なからずあるようです。
希望と自信を持ち続けながら受験に挑むために
受験生の皆さんにとって最も辛いのは、「どうせがんばってもムリ」と感じながらがんばることですよね。
大人でもそうです。
ですから皆さんにはぜひ、「ちょっとがんばれば達成できそう」「自分ならきっとできる」という、希望と自信を持ち続けながら受験に挑んで欲しいのです。
そのために、まずは〈目標を高過ぎるところに設定せず、目の前の小さな成功体験を積み上げること〉を心がけてください。
いつもお伝えしている◯△×方式で復習する問題を取捨選択するときと同じで、現在の課題の中で、皆さんの手が届きそうなところからつぶし、着実に力と自信をつけていくことです。
そして、いつまでも不安をただ抱えているのではなく、次に挙げる3つの項目について、ぜひ冷静に考察してみてください。
1.夏が終わった今の段階で、志望校と現状の偏差値にどのくらいのギャップがあるのか
2.そのギャップを埋めるための方法として、どのようなことが考えられるか
3.現実問題として、ここから数ヶ月で偏差値をどのくらい上げられる見込みがあるか
この3点をはっきりさせると、中学受験を諦める前にまず、現状把握や志望校変更の必要性を冷静に判断できます。
「◯◯中学校に合格できなければすべてが無駄」ではない
6年生は秋以降、実践演習や模試を次々こなす1000本ノックのような怒涛の日々が続きます。
学力と志望校の偏差値にあまりにも大きなギャップが有る場合は、どんどん気持ちが苦しくなっていきます。
そういう場合には、
第一志望校と自分の現状は本当に合っているのか(あまりにも大きなギャップが有りすぎないか)、もしも難しいならば、第二志望校はどうなのか。それならば可能性はグッと上がるのか。
そして第二志望校にも、実は第一志望校に負けないくらいたくさん良い所があるのではないか。
というように冷静に視野を広げ、一つ一つ情報を確認したり、検討したりしてみてください。
「◯◯中学校に合格できなければ、なにもかもおしまいだ」といったことはありませんし、そのように追い詰められた気持ちから解放されれば、逆にモチベーションも上がり、成績も上がってくるものです。
また、これを読んでくださっている親御さん方にお伝えしたいのですが、お子さん本人だけではなく、お父さん、お母さんが「◯◯中学校に合格できなければ、今までやってきたことがすべて無駄になる。どうしよう」といった気持ちになってしまうことも、中学受験を控えたご家庭では少なくありません。
そうなると、入試間近の模試の結果に親御さんが翻弄されてしまい、そんな親御さんの姿を見て、お子さんがさらに動揺し、不安や無力感を強くしてしまう……という悪循環に陥ってしまいます。
ですから、入試が近づいてきたら親御さんはぜひ、多少無理にでも楽天的に振る舞っていただきたいのです。
中学受験で第一志望に合格できるお子さんは、ご存知の通り、「3人に1人」と言われています。
そうした厳しい現実のもとであっても、長い目で見て、親子ともども「あの中学受験をして本当に良かった。成功だった」と思い返すご家族がたくさんいます。
ぜひ、辛い時こそ冷静になって現状をよく確認し、ご家族みんなで力を合わせて、目の前のハードルをどう超えていく決断をするのか、よく話し合ってみてくださいね。
中学受験生の皆さんはもちろん、共に挑むご家族皆さまの幸せを心から願っています。
(次回、その②に続きます)
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