【中学受験】漢字のオススメ学習方法 ~夏休み前の今、始めよう~

西村則康近影

西村則康 名門指導会代表

40年以上、難関中学・高校受験指導一筋のカリスマ家庭教師。
「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーションをアドバイス、コーチング手法も取り入れ、親子が心底やる気になる付加価値の高い指導を行う。

目次

夏に備えて準備しておくべきこと
効果がない漢字学習のやり方とは
効果がある漢字学習のポイントと注意点について
漢字は「急がば回れ」の学習法で
おすすめ教材の一例

梅雨入り前のジメジメした気候が続いていますね。

この先1か月は全国的に平年より気温が高くなる予測なので、梅雨と相まって湿度もいっそう高まりそうです。

この時期は身体がまだ暑さに慣れておらず、体温調節をする準備が不十分ですから、まだ夏本番ではないからと油断せず、水分や適度な休息をしっかり心掛けていきましょう。

夏に備えて準備しておくべきこと

先日、6月・7月は「受験の天王山」である夏休みを万全な状態で迎えるための重要な時期であることをお伝えしました。

特に大手中学受験塾に通っている場合、夏休みの過密スケジュールの中で自分が自由に使える時間は、案外少ないものです。

繰り返しになりますが、夏休みに過度な期待をして学習の先送りや積み残しをすることなく、むしろ、理科・社会の暗記や、国語の漢字・語句など、コツコツ知識をつけなければならないものは今からでも少しずつ手をつけ、できれば一巡しておきましょう。

そこで今回は、よく寄せられるお悩みの一つである「漢字の学習方法」についてお話ししておきたいと思います。

特に多いのが、漢字が覚えられない・すぐ忘れてしまうというお悩みです。

このような場合、以下のような覚え方をしていないか確かめてみましょう。

効果がない漢字学習のやり方とは

×知らない漢字や熟語の意味を確認せず、ひたすら何度も書く。

×答えが隠れる赤シートが付いた問題集や単語帳を用いた暗記法(自分の手で書かない)。

×漢字問題集を解き終えたら、すぐまた別の問題集に取り掛かる、というやり方(問題集は1度解いたら終わり)。

×テスト直前に覚える&テストで間違えてもそのまま。

これらはどれもその場しのぎで、漢字を定着させる工程が踏まれていません。
よって漢字が上手く覚えられず、覚えたようでもすぐに忘れてしまうのです。

もしも上記のやり方に心当たりがあった皆さんは、今日からはぜひこちらに切り替えてみてください。

効果がある漢字学習のポイントと注意点について

〈漢字をしっかり定着させるために有効な方法〉

◯漢字、熟語の意味を理解して覚える。
◯間違えたものは必ず直しを行い、手を動かして(書いて)反復する。
◯自分だけの間違いノートを作り、テストや授業でミスが発生するごとに更新する。
◯(漢字学習は)なるべく毎日やる。

意味もわからず書きまくるだけでは記憶に残りません。

英文を覚える時に単語の意味や文法、和訳を理解している方が覚えやすいのと同じで、漢字・熟語も部首や成り立ち、意味を理解している方が覚えやすく、またきちんと定着させることができます。

答えが隠れる赤シートや単語帳を用いた「目」だけの学習は、やった気にはなるもののあまり効果はなく、特に、読みの暗記は出来るようになっても、なかなか書けるようになりません。

いざテストに出てもトメハネの記憶が曖昧であったり、送り仮名を間違えたりしがちなので、これらのやり方は通塾のスキマ時間などに補助的に用いるのは良いですが、基本的には漢字は書いて覚える=身体で覚える、ということを頭に入れておきましょう。

そして、漢字学習の際、次々と問題集を変えたり、1度解いただけで終わりにしたりするのでは、どんな素晴らしい問題集も効果が半減してしまいます。

漢字は完璧でなければ無意味ですから(記述と違い、トメハネや送り仮名など、ミスが一つでもあれば得点になりません)まずはこれと決めた1冊にとことん向き合い、その1冊が完璧に仕上がったら、さらに難度の高い問題集、という進め方のほうがずっと効果的です。

漢字は「急がば回れ」の学習法で

面倒で回り道のようでも、漢字や熟語の意味をきちんと調べ、よく理解し、「目」だけではなく、実際に「手」を動かす演習を繰り返してみてください。

毎週のテストでも、効果は抜群のはずです。

そして、それでもテストで間違ってしまったときには、必ず間違い直しをしましょう。

ミスしたものは漢字だけではなく、問題文や例文とともにきちんとノートに記録し、万が一再度その漢字を間違えた場合にはそこに印をつけていきます。

そうすることで、自分が間違えやすい漢字やそのタイプがだんだんわかってきます。
(例えば「保証・保障・補償」のような同音異義語であるとか、「秋刀魚」「心太」のような簡単だけれど間違えやすいものであるとか)

先日お伝えしたように、朝食前の5分間でも良いので、この時期から出来るだけ毎日取り組めると良いですね。

おすすめ教材の一例

6年生で漢字が苦手な場合は『漢字マスター1095題 6年』(日能研)、基礎が身についている場合は『中学入試 でる順過去問 漢字 合格への2606問』(旺文社)などが取り組みやすいです。

参考書としては、小学校で習うすべての漢字が学年別に収録されている『SAPIXの漢字学習字典 SAPI漢』(サピックス)も良いと思います。

イラスト付きで、漢字学習が楽しくなる知識も紹介されているので4年生でも使えますし、サピックスの校舎だけでなく書店などでも購入できますよ。

『小学漢字 1006字の正しい書き方』(旺文社)はポケットサイズで持ち歩きやすく、書き順が一画ずつ示されている上、熟語も豊富です。
すべての漢字に成り立ちに関するコラムもあり、こちらも大変重宝しますよ。

漢字学習は読み書きだけでなく、熟語・対義語・類義語などの知識や語彙力のアップ、ひいては国語力そのものの底上げに繋がるので、夏休みまでに終えておくと特にメリットが大きい学習の一つです。

受験生の皆さんが心身ともに余裕を持って夏休みを迎えられること、そして、各科目の知識を総ざらいすることを通じて、コツコツ取り組んだ暁には大きな結果がついてくることの楽しみ、喜びを体感してくれることを大いに期待しています。

受験で勝てる子の育て方
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西村則康 著
¥1,870  日経BP社

       

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