目次
1. 習い事のさまざまなメリット
2. ご家庭の目的に応じて習い事は吟味する
台風が過ぎ去り、ようやく暑さも和らいできましたね。
夏休みの終わり頃になると毎年多くなるご相談が、「習い事」についてです。
「後期からは受験勉強に集中してほしいのですが」
「受験ギリギリまで絶対にやめたくない!」
と、保護者の方と生徒さんの思いが食い違うこともよくあります。
そこで今日は、そもそも受験生にとって習い事は良いことなのか、続けるならいつ頃までが良いのか等、習い事と中学受験の関係についてお話ししたいと思います。
1. 習い事のさまざまなメリット
まず中学受験生が習い事をすることについてですが、多くの親御さんが心配なさる「貴重な時間や体力を奪われる」といった悪い面ばかりではありません。
たとえば以前からおすすめしている幼児期の「公文」や「そろばん」は、受験準備として大いに役立つ「計算力」や、算数の繰り上がりの感覚を養ってくれます。
「水泳」は受験に欠かせない「基礎体力」や、理科や算数でよく扱う「水」に関する様々な理解をうながす「身体感覚」を養ってくれますし、中学・高校になってからの授業にも役立ちます。また、いざというときに自分の命を守る手段にもなりますね。
指先を使うだけでなく、両手・片足を同時にバラバラに動かす必要のある「ピアノ」は脳に良い刺激を与えると言われていますし、勉強の合間の気分転換として活用している人も多い習い事です。
サッカーや野球などの「集団スポーツ」は、根性・基礎体力・集中力・判断力を養ってくれるのはもちろん、仲間と力を合わせて一つの目的に向かうことを経験したり、チームワークを学んだりすることも出来るでしょう。
また、試合の振り返りや自分のパフォーマンス向上のために、「原因と結果とそのつながりを考え、自分なりに解決策を見出し、実践する」という、中高一貫校の入試問題で求められるような思考の過程を実体験として訓練出来ることも大きな利点です。
「書道」は字が美しくなり、採点官に読みやすく、自身もミスを起こしにくい解答が作れるようになります。
正しい筆順を覚えられるので、漢字の学習や一般教養としても良いですよね。
このように、中学受験における習い事のメリットはそれぞれの習い事にたくさんあります。
そして、どの習い事も継続することで「がんばって結果を出す楽しさ、喜びの体験」や「自己肯定感・自信の形成」、「忍耐力の向上」が大いに期待出来るでしょう。
2. ご家庭の目的に応じて習い事は吟味する
しかし、中学受験生にとって最低限の勉強時間や体力の確保は必須です。
「1日24時間」は皆に平等ですから、習い事をいつまで続けるのか、どのようにバランスをとっていくかは、各々の状況に合わせてよく考えていきましょう。
たとえば5・6年になると模試や講習も増えますから、特に集団スポーツのような習い事の場合は、高学年になるにつれ試合に出たり合宿に参加したりすることが難しくなっていきます。
その状況によって本人が苦しむことや勉強も習い事も中途半端になってしまうことを考えたら、高学年に入る時点でやめる・中断するのも一つの選択肢です。
ピアノや書道など一人でコツコツ出来ることならば、受験直前まで行うことも可能でしょう。
いずれの場合も一人ひとり状況は異なりますから、自分の通う塾のカリキュラムや成績、目指す学校のタイプなどに合わせてよく考えることが大切です。
ちなみにここでいう「目指す学校のタイプ」というのは、いわゆる難関校か中堅校か、という意味ではありません。
偏差値が高い学校を受けたいなら習い事はやめた方が良い、低いならオーケーということではなく、「出題傾向のタイプ」を見て判断してほしいということです。
具体的には「その場の判断力や思考力が重視されるタイプ」なのか「膨大な知識が必要なタイプ」なのかということなのですが、たとえば前者のタイプとしては麻布・武蔵・栄光・公立中高一貫校などが挙げられます。
そこでは好奇心旺盛な子、地頭が良い子、自分なりに考え試行錯誤出来る子、集中力やひらめく力を持っている子などが求められており、その場合は、特に集団スポーツなどの習い事が役に立ちます。
集中力・判断力に加え、チーム全体の目的を達成するために自分はどう動くべきかと考えられるような視点も育まれますから、問題を一読しただけではすぐに答えを出すことができないような思考力重視の問題に強くなるでしょう。
逆に、後者のような膨大な知識量が重視されるタイプの開成中や聖光中を目指している場合は、特に集団スポーツなどの習い事はあまりおすすめできません。
大量の知識をインプットするには欠かせない時間と体力が大いに割かれ、また育まれる部分も受験で求められる要素と完全一致していないからです。
それぞれの状況に応じて塾の先生や家庭教師にも相談し、ぜひお子さんに合ったやり方を見つけてあげてくださいね。
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