目次
1. 難関校の合格実績も「全落ち」も意外に多いサピックス
2. 立ち止まることができれば立て直しもきく
3. 教材も合格実績も優れているサピックスだけに「使い方」が大切
言わずとしれた大手中学受験塾、サピックス。
今回の記事では、お子さんがサピックスという塾に「合う」のかということについて考えてみたいと思います。
1. 難関校の合格実績も「全落ち」も意外に多いサピックス
難関校合格率では毎年群を抜く成績を誇り、近年では低学年のうちに入塾する「席取り」や、首都圏校舎の「新規生徒募集停止」でも話題になりました。
しかしサピックスのようにレベルの高い大手塾では、華々しい結果を残す生徒がたくさんいる一方、下位クラスのまま最後まで浮上できず、最終的にどこにも合格できなかった、というお子さんも意外と多いものです。
サピックスの場合、その原因は主にサピックスの優れたオリジナルテキストや授業の特性、そしてサピックスを選ぶご家庭にありがちな「ある考え方」にあります。
まずサピックスのオリジナルテキストや授業ですが、いつもお伝えしているように御三家・難関校突破を念頭に構成されています。
テキストは御三家・難関校の過去問を何十年も研究し尽くした、有効かつ一切無駄のないもので、それらの学校に合格するためには非常に頼もしい教材です。
そしてここに集うご家庭もまた、殆どが「御三家もしくは難関校狙いのご家庭」といっても過言ではないでしょう。
しかし、これこそが、サピックスから非常に多くの御三家・難関校合格者が輩出されているのと同時に、その裏でいわゆる「全落ち」してしまう生徒さんが意外なほど多い理由なのです。
具体的にお話すると、サピックステキストの御三家・難関校突破に向けて一切「無駄がない」という特性は、先日中学受験情報局で公開した動画「中学受験を成功させるサピックスの使い方とは」でもお伝えしたように、全く「余裕がない」教材でもあるということです。
特に国語・算数のテキストは、ほぼ問題だけで殆ど解説らしい解説がありません。
もちろん解答冊子には最低限の説明がありますが、もともとその回のテーマに関して、「どう解くか」「どう考えるか」「なぜそうなるか」などの説明がほぼ無いのです。
そして、サピックスの授業スタイルは何度もお話している通り「テキストは冊子型で当日配布」&家庭学習命の「完全復習型」です。
つまりこれらは、
・毎回の学習内容を「初見」かつ「授業内(の短時間)」で、ある程度きちんと理解して帰って来られる能力があること。
・日々の「家庭学習」「復習」の習慣がついていること。
が前提の仕組みであるということです。
授業中先生の話をよく聞き、授業内だけである程度きちんと理解することが出来なければ、帰宅してからその内容を自力で復習することは困難です。
そして復習がきちんと出来ていないならば、「完全復習型」であり、学習内容の定着を主に家庭学習に委ねているサピックスでは、どんなに良いテキストや授業が提供されていようとその恩恵は殆ど受けられていないのと同じであるということなのです。
それどころか、その回に学習したことが身に付かないまま次の単元に進んでしまう状況が重なれば、あれよあれよという間に成績は落ち、下位クラスのまま浮上できなくなってしまいます。
2. 立ち止まることができれば立て直しもきく
ただし、こういう事態に陥ってしまったときに
「もしかして家の子にはサピックスの授業スタイル・進度が合っていないのでは?」
とご家庭で気が付き(もしくは御本人が声を上げ)いったん立ち止まることが出来れば、まだ立て直しは出来ます。
例えばお子さんと話し合い、復習に第三者の手を借りることも一つの方法ですね。
サピックスを知り尽くしたベテラン講師に必要な予習カリキュラムを作成・指導してもらい、サピックス授業を「(初見のテーマ・問題ではない)復習」に変えてしまうことももちろん可能です。
あるいは同じテーマを基礎から複数回にわたり指導してくれるじっくり型の塾や、半期・1年分のテキストが事前に渡される予習可能なスタイルの塾に転塾を考えたって良いわけです。
ところが、サピックスに入塾させようと考えるご家庭の中には、極端な「ブランド志向」や、「プライドが高すぎる」親御さんが時折いらっしゃいます。
この場合が問題で、
・「サピックス」に在籍させていることで満足し、ご本人の現状や苦痛に一切目が向かない。
・お子さんがサピックスの進度・スタイルに合っていないことを認められない。
・御三家・難関校志向のサピックスでないと中学受験は駄目、転塾は負けと思い込んでいる。
・ご本人の状況を顧みず、志望校・併願校に御三家・難関校しか組み込めない
(偏差値50以下は受験の意味が無い、などと偏差値のみで極端に考えてしまう)。
などの理由から、
最後まで事態を好転できず、ご本人にとって苦しいだけの日々の末、前述の通り「全落ち」などの辛い結果を招いてしまうのです。
3. 教材も合格実績も優れているサピックスだけに「使い方」が大切
サピックスはもちろん非常に素晴らしい結果を出し続けている中学受験塾であり、教材も大変優れています。
しかし、すべてのお子さんに合う塾は存在しません。
そして御三家・難関校への道はサピックスに限ったものではありません。
サピックスに通塾させている・もしくは通塾を考えていらっしゃる保護者の皆さんは、ぜひとも今一度お子さんがサピックスの進度やスタイルに合っているか、狙いたい学校のレベルに適しているか等、適正を確かめてみていただけたら幸いです。
具体的には
・毎回、授業内のみである程度内容を理解して来られているか
・家庭学習・復習が無理なく習慣化しているか
の2点が見極めポイントです。
これらに課題がある場合も、そのための対策が取れていて、次回のチェックテストで毎回合格点が取れている・月一回の定期テストでも良い結果が出せている、というようなら学習がうまく回っているということで心配はありません。
中学受験を目指す皆さんがご自身に取って頑張りやすい環境を見つけ、最後に素晴らしい結果を勝ち取れることを心から願っています。
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