【中学受験】お家で話した? 衆院選2024

西村則康近影

西村則康 名門指導会代表

40年以上、難関中学・高校受験指導一筋のカリスマ家庭教師。
「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーションをアドバイス、コーチング手法も取り入れ、親子が心底やる気になる付加価値の高い指導を行う。

目次

様々な問題が露呈した今回の衆院選
家庭で政治や選挙の話ができているか
親子で選挙・政治について話そう

日が暮れるのが一段と早くなり、朝晩の冷え込みもいっそう増してきましたね。

10月27日は衆議院議員選挙でした。

中学受験生の皆さんの中にはお家で気になる候補者や政党について話したり、ご家族の投票について行ったりした人もいるのではないでしょうか。

衆議院議員選挙は、一つの選挙区から一人を選ぶ“小選挙区制”と、政党の得票に応じて議席を配分していく“比例代表制”の投票を行う選挙です。

様々な問題が露呈した今回の参院選

今回の結果は、与党の自民党(自由民主党)と連立与党の公明党が元々持っていた279議席を大きく減らし、15年ぶりに「与党過半数」を割る(215議席)という、自民党の歴史的大敗でした。

石破首相は連立与党過半数割れの厳しい状況の中で政治を行っていくことになりますが、こうなった一番の原因は、これまでも野党から追及されてきた「政治とカネ」問題です。

特に、裏金問題に関わったことで党の正式な候補から外した議員に活動費2千万円を支給していた事実の発覚が、今回の選挙の流れを大きく変えたと言えますね。

一方、自民党の「政治とカネ」問題に厳しく追及してきた立憲民主党は98議席から148議席と大躍進し、野党第1党の議席率が2003年(民主党/36.8%)ぶりに3割を超えました。

れいわ新選組が日本共産党を抜いたことや、女性当選者が過去最多の73人となり、全議員のうち女性が占める割合が15.7%と過去最高に達したことも話題になりましたね。

日本の選挙は、女性議員(当選者、候補者共に)の少なさや、選挙区によって一人当たりの有権者数に差が出てしまう『一票の格差』問題など、様々な問題を抱えていますが、中でも深刻なのは投票率です。

今回は戦後三番目に低い58.3%でしたが、中でも若者の投票率は特に低いものでした。

もちろん国や政治家たちが、政治不信の原因を払拭するなど、この状況を改善するための努力をすることも必要ですが、中学受験生の皆さんもぜひ今のうちから、少しずつ政治や選挙について関心を持ち、調べたり考えたりしておいて欲しいと思います。

家庭で政治や選挙の話ができているか

ベネッセが先月行ったアンケートでは、小学生~高校生のお子さんを持つ家庭のうち、今回の衆院選について会話を交わしたことが「ある」と答えたのは、たったの36%でした。
しかしながら、「小学生のうちから、政治・選挙に関心を持つことは重要だと思いますか?」という質問については、小学生の保護者の78%が「そう思う」「まあそう思う」と答えています。

つまり政治や選挙について、家庭では、会話をしたいけれどもなかなかできていない状況であるということなのですが、その理由は、自分(親)が自分の意見や考えを伝えることで子どもの見方が偏らないか心配であったり、自分自身が公平に話す知識を持てていないと感じていることであったりするそうです。

しかし、私はぜひ今の政治や今回の選挙について、改めてご家庭で話題にしてみてもらえたらと思っています。

というのは、小学校では日本の政治がどういう仕組みになっているか、どんな歴史をたどってきたかという話は聞けるけれど、具体的な政党やその政策、選挙情勢についてはなかなか聞けないからです。

小学校の先生は政治的中立性から、特定の政党を推すような授業ができないため、基本は具体的に踏み込んだ話は全くと言っていいほど出来ません。

ですから、親御さんが各政党やその政策について熟知していたり、どこにも肩入れしないよう公平に徹して話したり、正確に何もかもを教えてあげたり出来なくて一向に構わないので、ぜひともご家族みんなで分からないことを調べてみたり、話してみたりすることで、中学受験生の皆さんが政治や選挙に触れる機会を持てたらと思います。

親子で選挙・政治について話そう

今回の候補者の中ではどの人が良いと思った?

もしもこの党が与党になったら、こんな風に私の生活は変わりそう。

お母さんはこんな働き方がしたいな。それにはこの候補者の政策が合うかもしれない。

そんな風に、家族の身近な生活に当てはめて話してみるのも良いと思います。

中学受験生の皆さんが今から政治に興味を持ち、いずれ投票などの政治参加を積極的に行っていくことは、未来を担う若い皆さんの声を政治に反映させることです。

若い世代には政治的発言がタブーといった風潮も一部であるようですが、政治や選挙にずっと無関心でいて、将来気がついたら、世の中に大きな社会問題が生まれていた、そのツケはどうやら若い自分たちや、自分の子どもたちが払わなくてはならないらしい……。

そんなことにならないように、ぜひ今のうちから政治や選挙に関心を持ち、ふだんから気楽に皆でそれらについて話してみてください。

そして、小学生の皆さんがご家庭でそれらについて発言するとき、親御さんは決して「生意気」とけなしたり、はなから否定したりしないであげて欲しいです。

ぜひ温かい目で見守り、最後まで話を聞いて、自分も一緒に学びたい・知りたいという気持ちを伝えてあげてください。

総務省の調査では、幼い頃投票所に親子で行ったことがある人の投票率は、そうでない人より20%高いというデータもあります。

連日テレビで流れてくる政治家たちのガックリ来るニュースを観ていると、若い世代の皆さんが政治や選挙に愛想を尽かすのももっともだとは思いますが、将来若い皆さん方が誰も選挙に行かないようになれば、当然、若い世代にアピール出来るような政策も出てきません。

それは、皆さん自身にとっても損であり、喜ばしくないことですよね。

入試に役立つから、だけではなく、ぜひ皆さんの幸せな未来のために、今の政治や今回の選挙について、お家の方と今夜話してみてもらえたら嬉しいです。

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