目次
1. SAPIX通塾のデメリット
2. SAPIX通塾のメリット
御三家や難関中学受験で突出した合格実績を誇るSAPIX。
前回のSAPIX紹介記事では中学受験界で知らない人はいない大手進学塾SAPIX(サピックス)が一体どのような塾であるのか、その概要をお伝えしました。
今回は引き続き、SAPIX通塾のメリット・デメリットを中心にお話ししていきます。
さて、まずはいきなりですが、SAPIXに通塾した場合の【デメリット】から見ていきましょう。
1.SAPIX通塾のデメリット
①懇切丁寧な解説は望めない
前回お伝えしたように、SAPIXは御三家や難関中学受験合格をメインに見据えたオリジナル教材を用いています。
授業内では先生が次々と出す問題をスラスラと、もしくはちょうど良い手応えを感じながら解いて行くことが出来る成績優秀な生徒を中心に進められ、全員に十分と言えるほどの懇切丁寧な解説は望めません。
これはSAPIXが不親切とか特別そうであるというわけでは無く、言葉を選ばずに言ってしまえば、大手進学塾というものは基本的にそういうものだと思っていただければと思います。
②成績優秀な生徒のペースで授業が進む
①の理由のひとつでもありますが、大手進学塾も商売である以上、ライバルである他の大手進学塾より一人でも多く御三家や有名中学合格者を排出し、合格実績の数字を上げることでその宣伝広告を見た次年度の新入生を多数獲得しなければなりません。
そのような特性上、大手進学塾の先生方はどうしても【いま在籍している中で特に優秀な生徒の力をさらに伸ばし、出来得る限り合格実績を上げる】ことに重点を置いた授業を行わざるを得ないのです。
もちろん、大手進学塾で授業を行う先生方の情熱がそこだけに注がれているわけでは決してありません。
先生方はいつも一人一人の生徒に熱心に、愛情を持って向き合っているものです。
そして、SAPIXはもちろん、四谷大塚や日能研や早稲田アカデミー等その他大手塾も、それぞれに補習、個別指導、質問教室など、授業について行くのが難しい生徒や詳しい解説を要する生徒に向けた様々なサポート体制を用意してはいます。
しかし、大手進学塾では基本的に「在籍している中で特に優秀な生徒を中心に授業が進む」という側面があることは、是非とも保護者の皆さんの心に留めておいていただきたい事のひとつです。
③通塾だけでは無意味
以上のような理由から、御三家や難関中学突破を目指す難度の高い授業を提供しているSAPIXではほとんどの生徒が講義の中だけで十分な理解を得ることは出来ません。
つまりは、SAPIXは多くの他塾のように授業に参加しているだけである程度知識や技術が身に付くような場所ではなく、「通塾だけでは無意味」な塾の代表格であり、授業中に先生の話を集中してよく聞き、授業内だけである程度きちんとその内容を理解・消化出来る生徒でなければ、いくら御三家や難関中学合格に有効な素晴らしいメソッドを持っていてもその恩恵を受けることが出来ない場所なのです。
④保護者の全面的サポートが欠かせない
前回のSAPIX紹介記事でもお伝えした通り、前回もお伝えしたとおり、SAPIXの授業は予習不可能な当日配布形式のオリジナルテキストを用いた完全復習型スタイルです。
また授業内容は難度が高く、演習が中心になっていますから、授業内容の確実な定着やそのための演習は、授業終了後の各自による自習に委ねられているわけです。
しかし授業内のみである程度その日の内容を消化できていなければ、帰宅してから自力で復習すること自体が困難であり、復習がきちんとできなければ当然学習内容が身に付かないまま次の授業を受けることになりますから、悪循環でどんどん授業は解らなくなって行き、やがてはクラスの中で遅れを取るようになり、気が付けば下位クラスに転落したまま浮上できず本番を迎える……というケースが非常に多く見られる塾でもあります。
この事態を回避するために、多くのご家庭においては保護者による物理的・金銭的なあらゆる面での全面的サポート(自宅学習のフォロー・宿題や復習のスケジュール管理・教材整理・個別指導料等の発生等)が欠かせなくなることも念頭に置いておきましょう。
以上がSAPIX通塾の主なデメリットです。
素晴らしい合格実績を誇る大手進学塾SAPIXですが、お子様の状況次第ではこれらの危険や負担を伴うことも重要な事実です。
中学受験生の保護者の方々の中には残念ながら毎年一定数の、合格実績だけに目を奪われた盲目な「SAPIX信者」がいらっしゃるものです。
我が子とSAPIXの「相性」を確かめもせずお子さんをSAPIXに放り込んでしまったり、「入塾すれば安泰」と勘違いをしてその後の状況を一切確認・フォローしなかったりしたときに、苦しむのはお子さんご本人です。
SAPIXが非常に優れた塾であるのはもちろんですが、前述のようなデメリットもしっかり頭の片隅に置かれた上で、お子様の「SAPIXとの相性」もじっくり見極めつつ上手にサピックスを利用していただきたく、あえてデメリットを先にお伝えさせていただきました。
(相性が絶望的である場合を除き、デメリット回避の方法は多々あります。それはまた別の記事でお伝えいたします。)
次に、SAPIXに通塾した場合の【メリット】を見ていきましょう。
2. SAPIX通塾のメリット
本来はこちらからお話ししたかったのですが、SAPIXには突出して高い御三家・難関校合格率を誇るだけの非常に優れたメソッドがあります。
①学習意欲を刺激するシステム
SAPIXは成績に応じた非常に細かいクラス編成がされており、クラス変更の頻度も多いため、特に競争心の強い生徒にとっては非常に刺激的な学習環境となっています。
また、各クラスで授業毎に教材が配布されるシステムについてですが、これは全員が同じ初見という条件下での勝負になるため、学習意欲の高い生徒にとっては非常にワクワクするものです。
②御三家・難関校突破に最適な教材
また、そのオリジナルテキストの内容は御三家・難関校突破に向けた一切「無駄がない」ものになっています。
これはデメリットでお伝えした余裕の無さ・家庭学習の大きな負担、という懸念事項の裏返しでもありますが、詳しい解説や基礎演習を最低限に抑えた、他塾では類を見ないほど超実践的な演習内容であり、何十年もかけて講師陣が過去問研究を重ねたSAPIXならではの、御三家・難関校合格を狙う受験生にとって最適な教材に仕上がっています。
特に国語・算数のテキストはほぼ問題だけの構成で、「どう解くか」「どう考えるか」「なぜそうなるか」などの詳しい説明はほぼ無いに等しいですが、無駄を省いた分、その演習内容は本番と同等レベルかつボリューム、ときにはそれ以上の十分な内容となっており、これらのテキストやSAPIXのテストで常時7割以上正答出来る状態にもっていくことが出来れば、上記のような中学校への合格はもはや約束されたようなもの、と言っても過言ではありません。
③刺激的な学習環境
レベルが高いのは教材だけではありません。
SAPIX、特にその上位クラスに集まる生徒の優秀さは、大手進学塾の中でも突出しています。
やはり上位クラスほど学習内容は高度になりますし、受験に対する目的意識がはっきりした、自覚のある受験生がそろっています。
そのような環境に身を置くことで、競争心・学習意欲の強い生徒は特に実力を伸ばしやすくなり、刺激的な受験生活を送ることが出来るでしょう。
④充実した対策講座
SAPIXは対策講座の充実度も特記事項です。
春期講習、夏期講習などの季節講習はもちろん、難関校SS特訓、入試対策演習講座、それぞれの志望校に向けた対策講習など、実に多くの講座が用意されています。
また、高学年や直前期だけでなく、新1年生向けの「もうすぐ1ねんせい」、新4年生向けの「新4年生準備講座」など、低学年向けの講習もたくさん用意されています。
⑤御三家・難関校突破の最短コース
繰り返しになりますが、SAPIXが毎年突出した合格実績をたたき出し、長年大手進学塾の中でトップを走り続けている事実は、SAPIX通塾が有名中学突破の最短コースと言える何よりの証です。
前回の紹介記事でもお伝えした通り、例えば2023年度開成中学校では合格者419名のうち64%(268名)がSAPIX生、桜蔭中学校では290名中68%(197名)がSAPIX生というような結果を残しています。
ただし全ての中学に圧倒的、というわけではもちろんありませんから、入塾を検討する際は、ご自身の志望校におけるSAPIXの合格占有率もぜひチェックしてみてくださいね。
以上、今回はSAPI通塾のメリット・デメリットについてお話ししました。
次回以降のSAPIX紹介記事では、我が子や我が家とSAPIXの相性はどうなのか、SAPIXの生徒はどんな一週間を過ごしているのか、SAPIXで結果を出すために大切なことはなにか等、SAPIXの気になる点や最新情報をさらに詳しくお話していきます。
SAPIXに転塾・入塾を考えている皆さんや、サピックスに在籍しているものの違和感を覚えている受験生の皆さんに向けたこの記事が、少しでも力になれることを祈っています。