習い事

SAPIXはどんな塾?2023 ~③SAPIXとの相性を見極める 前編~

目次

1. 軽視できないSAPIXとの“相性”
2. なぜ「あのSAPIX」に通塾しても合格できないのか
3. どのような生徒・家庭がSAPIXに向いているのか

御三家や難関中学受験で突出した合格実績を誇るSAPIX(サピックス)。

SAPIX紹介記事➁では、中学受験界で知らない人はいない大手進学塾SAPIX通塾に関するメリット・デメリットをお伝えしました。

シリーズ3回目の今記事では、「我が子や我が家とSAPIXの相性はどうなのか」を中心にお話ししていきます。

1.軽視できないSAPIXとの“相性”

名実ともに御三家・難関校突破のトップ進学塾であるSAPIXにも、向き不向きが当然あります。

SAPIX紹介記事①でもお伝えした通り、全ての中学受験生がSAPIXに入塾さえすれば難関校に合格できるかといえば必ずしもそうではなく、むしろSAPIX入塾から受験本番まで終始下位クラスのまま浮上できず、最終的に一つも合格を勝ち取れなかった、というケースも意外なほど多いのがSAPIXの現実なのです。

2. なぜ「あのSAPIX」に通塾しても合格できないのか

そのようなケースが多い最大の理由は、御三家・難関校突破に非常に強いメソッドを持つSAPIXが「通塾(授業を受けて帰ってくる)だけでは恩恵が受けられない塾の代表格」であるからです。

SAPIXメソッドの恩恵を十分に享受するためには様々な条件があります。

お子さんやご家庭の状況によってはその恩恵を受け取ることが出来ないどころか、前回の記事でお伝えした「SAPIX通塾のメリット・デメリット」のうちのデメリットばかりを引き受けることになりかねません。

SAPIXへの通塾・転塾を考えていらっしゃる場合は、お子さんの性格や状況・ご家庭の方針や状況にSAPIXが本当に合っているのかどうか、ぜひ今回の記事も参考になりながらご家族でよく話し合い、相性を見極めた上で決断されることをおすすめいたします。

3. どのような生徒・家庭がSAPIXに向いているのか

それではどのような生徒・ご家庭がSAPIXに向いているのか、SAPIXの恩恵を十分に享受するために必要な条件は何なのか、具体的に見ていきましょう。

SAPIX最大の特徴はこれまでにもお伝えしてきた通り、

●御三家・難関校突破を見据えたカリキュラム
●完全復習型の授業スタイル
●保護者の負担が少なくない

という3点です。

完全復習型であるSAPIXの授業は予習が出来ないので、生徒たちは授業当日に初めてその日取り組む問題と対峙します。(※カリキュラムは年間スケジュールで発表されているため、単元のテーマを事前に把握しておくことは可能)

さらに授業内容は御三家・難関校突破を見据えたハイレベルな演習中心であり、それに付いて来られる約二割(成績上位)の生徒に照準を合わせ、彼らと講師との対話のような形式で容赦なくズンズン進んで行きます。

つまり、SAPIXの生徒には、授業中先生の話を集中して聞き、ハイスピードで難度の高い演習・解説に食らいついて行ける実力(処理能力)・姿勢が欠かせないということです。

SAPIXの授業は、やる気に満ちた集中力のある生徒、競争好きな生徒、SAPIXの出題レベルに難なくついていける生徒にとっては非常に新鮮でワクワクする時間です。

一方、やる気や集中力に欠ける生徒、周りと比較されることを好まないマイペースな生徒、SAPIXの難度やスピードについていくのが困難な生徒にとっては、ちんぷんかんぷんで挫折感しか得られない可能性すらある、無意味で苦しい時間になってしまうのです。

次に、家庭学習について。

たとえ授業中はその進度・難度に満足についていけなくとも、自宅でしっかりフォロー出来る態勢が整っている場合、SAPIXとの相性が悪いとは言い切れません。

完全復習型・ハイレベル演習中心のSAPIXでは、演習内容の深い理解・定着を家庭学習にゆだねています。

つまりは自宅で復習ができるレベルまで、授業内のみで、ある程度内容を理解して来られる状態であることがSAPIXの学習スタイルでうまくやっていく最低条件ということになりますが、そうでなくとも中学受験に精通した家庭教師などの第三者が毎授業内容を確実にフォロー出来る態勢が整っている場合は、授業内で理解が不十分である部分をその都度補い、次回授業に向けた十分な準備をすることが出来ますから、有意義なSAPIX通塾も可能=SAPIXとの相性は悪くない(SAPIXの恩恵を享受出来得る)と言えるのです。

(後編に続く)

【2023年版】SAPIXはどんな塾?➁ ~ SAPIX通塾のメリット・デメリット~

目次

1. SAPIX通塾のデメリット
2. SAPIX通塾のメリット

御三家や難関中学受験で突出した合格実績を誇るSAPIX。

前回のSAPIX紹介記事では中学受験界で知らない人はいない大手進学塾SAPIX(サピックス)が一体どのような塾であるのか、その概要をお伝えしました。

今回は引き続き、SAPIX通塾のメリット・デメリットを中心にお話ししていきます。

さて、まずはいきなりですが、SAPIXに通塾した場合の【デメリット】から見ていきましょう。

1.SAPIX通塾のデメリット

①懇切丁寧な解説は望めない

前回お伝えしたように、SAPIXは御三家や難関中学受験合格をメインに見据えたオリジナル教材を用いています。

授業内では先生が次々と出す問題をスラスラと、もしくはちょうど良い手応えを感じながら解いて行くことが出来る成績優秀な生徒を中心に進められ、全員に十分と言えるほどの懇切丁寧な解説は望めません。

これはSAPIXが不親切とか特別そうであるというわけでは無く、言葉を選ばずに言ってしまえば、大手進学塾というものは基本的にそういうものだと思っていただければと思います。

②成績優秀な生徒のペースで授業が進む

①の理由のひとつでもありますが、大手進学塾も商売である以上、ライバルである他の大手進学塾より一人でも多く御三家や有名中学合格者を排出し、合格実績の数字を上げることでその宣伝広告を見た次年度の新入生を多数獲得しなければなりません。
そのような特性上、大手進学塾の先生方はどうしても【いま在籍している中で特に優秀な生徒の力をさらに伸ばし、出来得る限り合格実績を上げる】ことに重点を置いた授業を行わざるを得ないのです。

もちろん、大手進学塾で授業を行う先生方の情熱がそこだけに注がれているわけでは決してありません。
先生方はいつも一人一人の生徒に熱心に、愛情を持って向き合っているものです。

そして、SAPIXはもちろん、四谷大塚や日能研や早稲田アカデミー等その他大手塾も、それぞれに補習、個別指導、質問教室など、授業について行くのが難しい生徒や詳しい解説を要する生徒に向けた様々なサポート体制を用意してはいます。

しかし、大手進学塾では基本的に「在籍している中で特に優秀な生徒を中心に授業が進む」という側面があることは、是非とも保護者の皆さんの心に留めておいていただきたい事のひとつです。

③通塾だけでは無意味

以上のような理由から、御三家や難関中学突破を目指す難度の高い授業を提供しているSAPIXではほとんどの生徒が講義の中だけで十分な理解を得ることは出来ません。

つまりは、SAPIXは多くの他塾のように授業に参加しているだけである程度知識や技術が身に付くような場所ではなく、「通塾だけでは無意味」な塾の代表格であり、授業中に先生の話を集中してよく聞き、授業内だけである程度きちんとその内容を理解・消化出来る生徒でなければ、いくら御三家や難関中学合格に有効な素晴らしいメソッドを持っていてもその恩恵を受けることが出来ない場所なのです。

④保護者の全面的サポートが欠かせない

前回のSAPIX紹介記事でもお伝えした通り、前回もお伝えしたとおり、SAPIXの授業は予習不可能な当日配布形式のオリジナルテキストを用いた完全復習型スタイルです。

また授業内容は難度が高く、演習が中心になっていますから、授業内容の確実な定着やそのための演習は、授業終了後の各自による自習に委ねられているわけです。

しかし授業内のみである程度その日の内容を消化できていなければ、帰宅してから自力で復習すること自体が困難であり、復習がきちんとできなければ当然学習内容が身に付かないまま次の授業を受けることになりますから、悪循環でどんどん授業は解らなくなって行き、やがてはクラスの中で遅れを取るようになり、気が付けば下位クラスに転落したまま浮上できず本番を迎える……というケースが非常に多く見られる塾でもあります。

この事態を回避するために、多くのご家庭においては保護者による物理的・金銭的なあらゆる面での全面的サポート(自宅学習のフォロー・宿題や復習のスケジュール管理・教材整理・個別指導料等の発生等)が欠かせなくなることも念頭に置いておきましょう。

以上がSAPIX通塾の主なデメリットです。

素晴らしい合格実績を誇る大手進学塾SAPIXですが、お子様の状況次第ではこれらの危険や負担を伴うことも重要な事実です。

中学受験生の保護者の方々の中には残念ながら毎年一定数の、合格実績だけに目を奪われた盲目な「SAPIX信者」がいらっしゃるものです。

我が子とSAPIXの「相性」を確かめもせずお子さんをSAPIXに放り込んでしまったり、「入塾すれば安泰」と勘違いをしてその後の状況を一切確認・フォローしなかったりしたときに、苦しむのはお子さんご本人です。

SAPIXが非常に優れた塾であるのはもちろんですが、前述のようなデメリットもしっかり頭の片隅に置かれた上で、お子様の「SAPIXとの相性」もじっくり見極めつつ上手にサピックスを利用していただきたく、あえてデメリットを先にお伝えさせていただきました。

(相性が絶望的である場合を除き、デメリット回避の方法は多々あります。それはまた別の記事でお伝えいたします。)

次に、SAPIXに通塾した場合の【メリット】を見ていきましょう。

2. SAPIX通塾のメリット

本来はこちらからお話ししたかったのですが、SAPIXには突出して高い御三家・難関校合格率を誇るだけの非常に優れたメソッドがあります。

①学習意欲を刺激するシステム

SAPIXは成績に応じた非常に細かいクラス編成がされており、クラス変更の頻度も多いため、特に競争心の強い生徒にとっては非常に刺激的な学習環境となっています。

また、各クラスで授業毎に教材が配布されるシステムについてですが、これは全員が同じ初見という条件下での勝負になるため、学習意欲の高い生徒にとっては非常にワクワクするものです。

②御三家・難関校突破に最適な教材

また、そのオリジナルテキストの内容は御三家・難関校突破に向けた一切「無駄がない」ものになっています。

これはデメリットでお伝えした余裕の無さ・家庭学習の大きな負担、という懸念事項の裏返しでもありますが、詳しい解説や基礎演習を最低限に抑えた、他塾では類を見ないほど超実践的な演習内容であり、何十年もかけて講師陣が過去問研究を重ねたSAPIXならではの、御三家・難関校合格を狙う受験生にとって最適な教材に仕上がっています。

特に国語・算数のテキストはほぼ問題だけの構成で、「どう解くか」「どう考えるか」「なぜそうなるか」などの詳しい説明はほぼ無いに等しいですが、無駄を省いた分、その演習内容は本番と同等レベルかつボリューム、ときにはそれ以上の十分な内容となっており、これらのテキストやSAPIXのテストで常時7割以上正答出来る状態にもっていくことが出来れば、上記のような中学校への合格はもはや約束されたようなもの、と言っても過言ではありません。

③刺激的な学習環境

レベルが高いのは教材だけではありません。

SAPIX、特にその上位クラスに集まる生徒の優秀さは、大手進学塾の中でも突出しています。

やはり上位クラスほど学習内容は高度になりますし、受験に対する目的意識がはっきりした、自覚のある受験生がそろっています。

そのような環境に身を置くことで、競争心・学習意欲の強い生徒は特に実力を伸ばしやすくなり、刺激的な受験生活を送ることが出来るでしょう。

④充実した対策講座

SAPIXは対策講座の充実度も特記事項です。

春期講習、夏期講習などの季節講習はもちろん、難関校SS特訓、入試対策演習講座、それぞれの志望校に向けた対策講習など、実に多くの講座が用意されています。

また、高学年や直前期だけでなく、新1年生向けの「もうすぐ1ねんせい」、新4年生向けの「新4年生準備講座」など、低学年向けの講習もたくさん用意されています。

⑤御三家・難関校突破の最短コース

繰り返しになりますが、SAPIXが毎年突出した合格実績をたたき出し、長年大手進学塾の中でトップを走り続けている事実は、SAPIX通塾が有名中学突破の最短コースと言える何よりの証です。

前回の紹介記事でもお伝えした通り、例えば2023年度開成中学校では合格者419名のうち64%(268名)がSAPIX生、桜蔭中学校では290名中68%(197名)がSAPIX生というような結果を残しています。

ただし全ての中学に圧倒的、というわけではもちろんありませんから、入塾を検討する際は、ご自身の志望校におけるSAPIXの合格占有率もぜひチェックしてみてくださいね。

以上、今回はSAPI通塾のメリット・デメリットについてお話ししました。

次回以降のSAPIX紹介記事では、我が子や我が家とSAPIXの相性はどうなのか、SAPIXの生徒はどんな一週間を過ごしているのか、SAPIXで結果を出すために大切なことはなにか等、SAPIXの気になる点や最新情報をさらに詳しくお話していきます。

SAPIXに転塾・入塾を考えている皆さんや、サピックスに在籍しているものの違和感を覚えている受験生の皆さんに向けたこの記事が、少しでも力になれることを祈っています。

6年生の夏期講習後半の過ごし方で気をつけたいこと

目次

1. お盆の特訓をどうするかを考えましょう
2. 夏休み 後半「 再スタート」 という気持ちで
3. 9月以降は、より個人別の学習が重要になる

各塾の夏期講習が始まって、2週間が経とうとしています。

特に6年生は、連日長時間の塾通いと宿題、早い 塾では過去問にも取りかかっており、大量の学習に追われていることと思います。

今回は、6年生の夏休み後半の過ごし方についてお話ししたいと思います。

1.お盆の特訓をどうするかを考えましょう

サピックスではお盆の期間に「夏期集中志望校錬成特訓」が行われます。
夏期講習もそうなのですが、それ以上に演習中心の授業となります。

「志望校錬成」と言われると、どうしても受けなければならないように思うのですが、志望校が決まっており、学力も順調について合格の目処が立ちそうだ、という状況であれば、もちろん参加を強くおすすめします。

逆に、今の時点では志望校の偏差値に大きく届いていないケースや、苦手科目・苦手単元がかなりある、という お子さんには、参加を強くはお勧めしていません。

もちろんケースバイケースであり、参加することによってモチベーションが上がるのであればそれも良いとは思うのですが、その時間を使ってこれまでの穴埋めをしたいというご家庭には、無理にお勧めするタイプの講座ではないと思っています。

ただし、参加せずに家庭学習がきっちりできるという前提があればいいのですが(名門指導会の場合は、この期間を使って弱点補強や9月に向けての準備を行うお子さんも多いです)、参加せずに家にいたけれどあまり有意義に過ごせなかった、という結果になるなら、参加した方が良いでしょう。

サピックスだけでなく、お盆の期間に6年生の特別講座を設けている塾は多くあります。

お子さんの現状とご家庭でできることを検討した上で、(申し込んでしまったので参加するということではなく)実際に参加するかどうかを考えるといいと思います。

2. 夏休み 後半「 再スタート」 という気持ちで

夏休み後半も夏期講習が続きますが、今一度授業の受け方について確認した上で夏期講習 後半に臨んでいただければと思います。

6年生の夏期講習はこれまで習った全てのことを、ひと夏でもう一度すべて振り返る、というカリキュラムになっている塾がほとんどです。

普段の授業のように「まず 習って理解できたら問題を解く」というスタイルではなく、どんどん問題を解いて自分に足りないところを発見し、穴埋めしていくという授業になります。

このことを再度思い出し、夏期講習の授業に関しては「授業で解いた問題は全て事業で理解して帰ってくる」という気持ちで取り組みましょう。

それでも、どうしても「 消化不良」の部分は出てきます。
これを翌日の授業までにできるだけ補充して次の日に臨む、この繰り返しになりますね。

大変な毎日が あと3週間ほど続きますが、ぜひ忙殺されることなく、目的を持って学習を続けていただければと思います。

3. 9月以降は、より個人別の学習が重要になる

6年生は9月以降、志望校別の日曜特訓が始まります。
志望校の学校名を冠したコースが存在し、そのコースに在籍することができているお子さんは、志望校別特訓の学習が優先順位の1位になります。

一方、志望校の名前を冠したコースが存在せず(「 難関校 特訓」 といった、複数の学校を対象としたコースに在籍している場合)や、志望校のコースに入れなかったお子さんの場合、日曜特訓の重要性はぐっと下がります。

それでは何が優先順位の1位になるかというと、もちろん志望校の過去問になります。

過去問演習は1校につき 4科目が基本になりますが、受験するのは第1志望校だけでなく、 第2志望、 第3志望、そして「 前受校」と呼ばれる学校の過去問も解かなければなりませんね。

かなりの量の過去問を解かなければならないので、その時間を確保しておく必要があります。
また過去問は「解きっぱなし」ではなく、間違い直しをする必要もあります( この辺りの具体的な方法は、また後日お伝えしたいと思います)。

塾の日曜特訓がお子さんの志望校に特化していない場合、過去問演習をいかに有意義にこなしていくかが 合格に直結します。

9月を迎える前に、意識しておいていただければよいかと思います。

残りの夏の期間、有意義なものにしていきましょう!

【2023年版】SAPIXはどんな塾?

目次

1. 難関校合格では圧倒的な実績を誇るサピックス
2. SAPIXはどんな塾?
3. 御三家・難関校突破のためのカリキュラム
4. 完全復習型の授業スタイル
5. 保護者の負担が少なくない

1.難関校合格では圧倒的な実績を誇るサピックス

中学受験界で知らない人はいない大手中学受験塾SAPIX(サピックス)。

言わずとしれた有名中学を中心に高い合格実績を誇る進学教室です。

特に難関校合格率では毎年群を抜いており、例えば2023年度開成中学校では
合格者419名のうち64%(268名)はSAPIX生、桜蔭中学校では290名中68%(197名)がSAPIX生
という結果を残しています。

数年前、このように難関校に圧倒的に強いといわれるSAPIXに入室の競争率が低い低学年のうちに在籍しておく、いわゆる「席取り」作戦がブームとなりました。

しかし、その後塾側が優秀な5.6年生の入塾余地を捻出するための対策ともみられる首都圏校舎の低学年「新規生徒募集停止」を突如発表したことで、SAPIX入塾を希望していた多くの受験家庭に大きな衝撃が走ったのは記憶に新しいところではないでしょうか。

このように非常に高い人気を誇るサピックスですが、全ての中学受験生がサピックスに入塾さえすれば難関校に合格できるかといえば必ずしもそうではありません。

むしろ、トップ校の合格を次々と勝ち取る生徒さんが続出する一方で、入塾から受験まで終始下位クラスのまま浮上できず、最終的にどこにも合格出来なかった、という生徒さんが意外なほど多く存在しているのが現実です。

驚異的な難関校合格者専有率を記録し続けるSAPIXとは一体どのような塾なのか。
どのような特徴を持ち、そこにはどんなメリットとデメリットがあるのか。
我が子や我が家とSAPIXの相性は良いのか。
SAPIXの生徒はどんな一週間を過ごしているのか。
SAPIXで結果を出すために大切なことはなにか…etc.

近々SAPIXに転塾や入塾を考えている受験生の皆さんや、サピックスに在籍しているものの違和感を覚えている受験生の皆さんに向け、今日から数回にわたりこの超有名塾について詳しくお伝えしていこうと思います。

2. SAPIXはどんな塾?

SAPIXの最大の特徴は、

●御三家・難関校突破のためのカリキュラム

●完全復習型の授業スタイル

●保護者の負担が少なくない

という3点です。

3. 御三家・難関校突破のためのカリキュラム

SAPIXのカリキュラム・オリジナルテキストは中堅以下の学校ではなく、潔いほどはっきりと、ただひたすらに御三家・難関校突破のみを見据えた作りになっています。

実際にSAPIXは長年御三家・難関校合格実績が非常に多く、長い年月をかけて過去問研究が尽くされ、カリキュラムや教材は非常に有効かつ一切無駄のない頼もしいものとなっています。

ここには確かに、御三家・難関校突破に向けた確かなメソッドが存在していると言えるでしょう。

授業に用いられるオリジナルテキストは他塾に比べ難易度が非常に高く、カリキュラム進度も圧倒的な速さです。

他塾では6年生の夏ごろまで新単元を学習することもありますが、SAPIXでは5年生のうちに受験に必要なほとんどの単元を修了し、6年生になると一気に本番に向けた実践演習が始まります。

SAPIXという塾はもちろん、ここに集うご家庭もまた、殆どが御三家や難関校を本気で狙っているご家庭といっても過言ではありません。

4. 完全復習型の授業スタイル

SAPIXの授業は基本的に予習不可能であり、テキストは「当日配布」され、家庭学習に重きが置かれた「完全復習型」の授業スタイルです。

カリキュラムは事前に発表されているものの、毎授業で最初に配布されるテキストは基本的に全ての生徒が当日初めて目にするものです。

つまり生徒たちは毎回初見のテーマや問題にその場で向き合わなくてはなりません。

また、テキストの形式も他塾のように半年~1年分を分厚い1冊の本にまとめたものではなく、1授業1冊の小冊子やプリント類であるという点に特徴があります。

授業は多くの場合いわゆる「出来る生徒」と講師の対話のような形でドンドン進んでいき、基本的に実戦の前に詳しいテーマ解説の時間が設けられている訳ではありません。

付いていけない場合は容赦なく置いて行かれてしまうことも往々にしてあります。

授業は実践演習が中心で、その授業回のテーマに対し、「どう考えるか」「どう解くか」「なぜそうなるか」等の深い理解を得ることや学習内容の定着を図る作業は各自が自宅で(場合に寄っては親御さんや家庭教師、個別指導などのフォローを得ながら)行います。

SAPIXの授業は復習ありきであり、復習なしには成績向上は無いと言えるでしょう。

5. 保護者の負担が少なくない

前述のとおりSAPIXは復習に重きが置かれているため、授業を受けて帰ってくるだけではその秀逸なオリジナルテキストの恩恵を受けることが出来ません。

つまり日々の「家庭学習」「復習」が習慣づいていることが前提であり、そうでない場合はまず我が子を日々机に向かわせる作業が必要になります。

幸いそこに苦労がない場合も、SAPIX教材や宿題は非常にレベルが高く量も膨大なので、自宅で扱う問題の取捨選択や宿題のフォロー、教材整理等は受験生一人には到底難しく、他塾に比べ保護者や第三者の手が必要になる機会は圧倒的に多いと言えます。

以上、ここまではSAPIXがどんな特徴を持つ塾であるかをお伝えしました。

次回以降は引き続き、SAPIX通塾のメリットとデメリット、我が子や我が家とSAPIXの相性、SAPIX生はどんな一週間を過ごしているのか等、SAPIXの気になる点や最新情報をを詳しくお話していきます。

入試要項をチェックしよう!(2024開成中 応募資格を変更)

目次

1. 開成中高、受験資格を変更
2. 入試要項でチェックしておくべき事柄1〜3
3. 入試要項でチェックしておくべき事柄4〜5

1.開成中高、受験資格を変更

令和5年7月3日、開成中学校公式ホームページにて、2024年度入試応募資格の変更が発表されました。
※くわしくはこちら

これまで応募資格を持たなかった教育機関を卒業見込みの男子生徒も応募可能になりますので、多くの受験生には直接的な影響はないものの、ライバルがわずかに増えると捉えても良いでしょう。
(もちろん該当する受験生にとっては、嬉しい規制緩和ですね)

なお開成中では8月26日(土)に、
『≪受験生向け≫新校舎B 棟・C 棟完成記念 教育施設プレビューデイ』
※要予約
の開催を予定しています。

【日時】
2023(令和5)年 8 月 26 日(土)
【対象】
開成受験を考えている小学3年生~中学3年生とその家族

混雑緩和と安全確保のため参加予約数には制限があり、予約方法については7月下旬に発表・予約開始は8月上旬が予定されています。
興味のある方は今月下旬に公式ホームページをチェックしてみてくださいね。

多くの中学校では入試の応募資格や募集要項に関して前年の4月~秋頃に発表していますが、今回のように発表後条件が追加・変更されることもよくあることです。
志望校・併願校を検討中の皆さんはぜひ夏休みを利用して、気になる学校のホームページを改めてよく確認してみてくださいね。

特にここ数年は新型コロナウイルスの影響で入試直前の試験内容や待機場所・合格発表方法等の変更が続出しています。
ホームページの定期的な確認と合わせて、各学校の公式アカウントを登録する等、最新情報を得られる態勢もしっかり整えておきましょう。

2. 入試要項でチェックしておくべき事柄1〜3

また、入試要項を見る際は以下の点をよくチェックしておくと良いでしょう。

1.入試日程
当然のことではありますが、同日同時間帯開催の入学試験を複数受験することは出来ません。
ただし、同日開催でも午前と午後で時間帯が異なれば受験は可能ですから、その際は午前の入試会場から午後の入試会場への移動距離、体力なども考慮しながら、無理のないスケジューリングをしましょう。
入試開催日程・時刻はミスのないようしっかり確認してくださいね。

また、学校によっては複数回受験のチャンスがあり、回数を重ねた分だけ有利になる条件を設定している場合もあります。
日程・時刻と合わせてよく確認しておきましょう。

2.募集定員
前年度と比べ増減している場合もあります。
倍率が大きく変わることも予想されますので、よく確認しましょう。
また、基本的に第一回入試・第二回入試などの開催回によっても定員は異なります。
どの日程で受験するかも作戦のうち、ということを覚えておいてくださいね。

3.調査書
調査書の有無によって小学校での生活態度を変えるというのもおかしな話ですが、学校によっては調査書を重視することがはっきりと明記されている場合もあります。
出席日数など「自覚」がある場合は気をつけましょう。

3. 入試要項でチェックしておくべき事柄4〜5

4.当日の服装や持ち物
学校によっては当日の服装がある程度指定されていたり、上履きや昼食が必要であったりします。
また、学科試験にコンパスや定規などが必要な学校もあります。
多くの場合忘れ物をしても貸し出してもらえますが、当日そのようなミスをしてしまうようではワキが甘いと言わざるを得ず、第一志望合格は厳しいかもしれません。
服装規定や持ち物については事前に入念にチェックし、当日動揺することのないようにしっかり準備しておきましょう。

5.入学金や学費
こちらに関しては、直接受験生の皆さんには関係がないかもしれません。
しかし、保護者の方は事前にこれらの項目についてよく確かめておきましょう。
前出の記事でもお伝えしましたが、入学金は一度納めたら「理由のいかんに関わらず返金不可」というケースもあります。

また、入学金の納入締切日のチェックや条件も重要です。
ある学校に合格しても、入学金納入締切日の設定条件(一部入金により延納が認められる等)によっては、その後に控えた第一志望の合格発表まで入学金を全納しないでおけるケースもあります。

いざとなってから焦ってしまったり、余計な出費で損をしてしまったりしないで済むように、合否のあらゆるパターンもシミュレーションしておきましょう。

中学受験生の皆さんが早い段階から気になる学校の入試要項をしっかりチェックし、万全の態勢を整えて当日に臨めるよう願っています。

中学受験の費用はいくらかかる? ~入学後までシュミレーションしておこう~

目次

1. 塾の費用
2. 受験料
3. 入学金
4. 進学後の学費

「中学受験、本当にする?やめる? ~夏休み前に確認したいこと~」では、中学受験の意義を改めて考えるヒントをお伝えしました。

中学受験を本当にするかどうか決めかねていた皆さんは、それぞれの答えを見つけられたでしょうか?

さて、前出の記事で少し触れた中学受験の費用について、もっと詳しく知りたいというお声があったので、今回はそちらを掘り下げていこうと思います。

1.塾の費用

中学受験本番までの過程では、まず授業料・講習代・教材費・場合によっては通塾代や軽食代が必要になります。

塾代だけでも、代表的な大手進学塾の場合4.5.6年の3年間で1,700,000円(最低限)程度かかるとお伝えしましたが、
詳しくお伝えすると総計は最低約170万〜最大260万円位で、内訳は以下の通りです。

四年次:約40〜70万円
五年次:約40〜70万円
六年次:約90〜120万円
(季節講習代含む)

※ちなみにSAPIXの場合、授業料は
四年次:約480,000円
五年次:約600,000円
六年次:約720,000円
です。
授業料のみ(季節講習別)で3年間の合計が約1,700,000円になる計算ですね。

また、費用面で言うと関東の大手塾の中で最も安いのは日能研です。

六年次でも約32万円~57万円程度なので、他の大手塾に比べるとお財布に優しい塾と言えるでしょう。

※大手塾の季節講習代(相場)は以下の通りです。
・夏期講習
4年生:約4~10万円
5年生:約5~15万円
6年生 :約16~19万円

・冬期講習
4年生:約4~10万円
5年生:約5~15万円
6年生 :約16~19万円

そのほか代表的な講習としては志望校特訓、正月特訓、直前講習などがあります。

また、多くのご家庭では、受験直前の追い込み期に苦手分野克服・得点源強化のため、家庭教師や個別指導を通常時より多く使用しています。

それらの予算も視野に入れておくとより安心ですね。

2. 受験料

1回につき20,000円~30,000円が相場です。

前回お伝えした通り、練習なども含めて3~6校程度受験する場合が多いので、ここでは60,000円~180,000円くらいかかると考えておきましょう。

2回目、3回目と受験することで割引が適用される学校もあります。

また、私立でなく国立中学校の場合受験料は約5,000円、公立中高一貫校の場合は約2,000円です。

3. 入学金

入学手続時納入金は全額を一括で支払う必要がある学校も、分割が可能な学校もあります。

基本的には進学しなくなった場合も返却はされませんが、一部、延納や返却が可能な学校もあります。

金額は約200,000円~400,000円です。

万が一のため(第一志望校の受験が後日に控えているが合格の可能性が低く、入学資格を抑えておきたい場合など)複数の学校に納入する場合もあるでしょう。

大きな金額ですが、余裕を持って準備しておけると安心ですね。

4. 進学後の学費

・私立の場合

年間の学費は約100万円~150万円です。

中学・高校共に私立に6年間通った場合は合計約600万円(400万円程度の場合も)~900万円くらいが目安になります。

・国立附属中学、公立中高一貫校の場合

授業料は無料です。

ただし、その場合も500,000円程度の学費は必要です。

内訳はおおまかに学校教育費が140,000円、修学旅行・遠足・見学費などの学校外活動費が300,000円、学校給食費が40,000円、その他(学用品や通学費用など)20,000円程度、といった感じです。

また、国立附属は全員がそのまま高校や大学に進学できるとは限らず、多くの場合高いハードルがあります。

進学を確実にしたい場合や大学受験を考える場合は、基本的に私立と同様、塾代や家庭教師代も必要になるので注意しておきましょう。

以上、今回は中学受験にまつわる費用に関してさらに詳しくお伝えしました。

中学受験はたくさんのメリットがある一方、受験生本人はもちろん、家族全員にとって負担も小さなものではありません。

せめてお金については早め早めから計画・準備し、少しでも安心して本番に臨めると良いですね。

中学受験案内本2024 どれを買ったら良い? それぞれの特徴は?

目次

1. 『2024年度入試用 中学受験ガイド』SAPIX
2. 『2024 中学入試案内』四谷大塚
3. 『学校案内(首都圏・その他東日本版)』日能研
4. 『首都圏中学受験案内』晶文社
5. 『首都圏版 中学受験案内』 声の教育社

6月初旬、大手中学受験塾SAPIXから『2024年度入試用 中学受験ガイド』が発売されました。

中学受験案内本は毎年6月頃に翌年度のものが出揃いますが、たくさんあって迷ってしまいますよね。

そこで今日は、毎年人気の高い5冊をピックアップし、それぞれの特徴をお伝えします。

1.『2024年度入試用 中学受験ガイド』SAPIX

定価:2,090円(税込)

首都圏、関西を中心に、全国の主要296校の学校情報が掲載されています。

マネーガイドや大学合格実績等、志望校選びに役立つあらゆるデータが満載。

今年度の入試分析から来年度の入試動向を予測する「2024年度入試の展望と戦略」や、SAPIXベテラン講師による学習法アドバイス「2023年度の出題傾向と合格のための学習法」、難関中学への合格体験記など、特集ページも充実しています。

中学受験(特に難関中学合格)を目指す受験生本人、保護者の方いずれにとっても役立つ、読み応えのある1冊と言えます。

※SAPIX小学部オリジナル偏差値一覧付き。

2.  『2024 中学入試案内』四谷大塚

定価:2,200円(税込)

未発売(6月30日発売予定)のため未確定ではありますが、毎年四谷大塚合不合判定テストの結果データが掲載されているのが特徴です。

2024年度用では「大人気32校の比較」「私立・国立大学附属校・公立中高一貫校約440校」の情報、大学合格実績3年間推移、大学付属校の内部推薦進学率等が掲載予定です。

ちなみに四谷大塚ではホームページでも詳しい学校情報を扱っています。

登録をすれば誰でも利用出来るので、そちらもぜひ活用してみましょう。

3.  『学校案内(首都圏・その他東日本版)』日能研

定価:2,420円

約500校と豊富な学校情報が掲載されています。

各学校の紹介欄には校風、沿革、宗教、環境・施設、教育内容(カリキュラム)など、内容も詳細まで書かれており、大学付属校の内部推薦進学率、特待生制度まで確認することが出来ます。

日能研の長年のデータから得た「日能研結果R4偏差値3年間推移」「大学合格実績3年間推移」などの情報も参考になりますよ。

また、おまけの「首都圏私立・国立・公立333校の『学校歩きマップ』」は学校訪問の際に便利です。

※「東海版」もあるので、購入の際は希望のエリアに合うものを選んでくださいね。

4.  『首都圏中学受験案内』晶文社

定価:2,640円(税込)

長年支持されている中学受験案内本です。

書式や体裁が見易く、特徴は「思考コード」という首都圏模試が開発したオリジナルのコードであり、こちらは思考力、表現力、想像力の難度を可視化したものです。

各学校ごとに掲載されているので、それぞれの出題傾向を比較検討し、併願校を選ぶときに便利です。

また、受験生の中には志望校選択の大きなポイントにしている人もいるであろう「制服」についても、「デジタルブックで見られる制服コレクション」というオマケの特集で詳しく確認できます。
(QRコードを読み込みます)

1番の特徴は「受験生応援アプリ」であり、こちらで入試日程等を確認し、自身の入試スケジュールを管理することが出来ます。

書籍購入後も役に立つ仕組みは嬉しいですね。

5. 『首都圏版 中学受験案内』 声の教育社

定価:2,310円(税込)

こちらは各塾が出版しているものではないので、大手各塾などの偏差値に対応したデータ等があるのが最大のメリットです。
(四谷大塚、首都圏模試、SAPIX)

学校情報としては沿革や理念、入試データだけでなく、部活やイベント、弁当、食堂など、「入学してから」の実生活に役立つ情報まで掲載されているのが特徴です。

中学受験案内は各学校のデータがメインの情報です。

どれを選ぶかによって受験結果が大きく左右されてしまうことはありませんが、選ぶ際のポイントは、受験生本人や保護者の方が見易い・読み易いと感じるもの、受験に対するモチベーションが高まるもの、特に知りたい事項に詳しいものを選ぶことです。

それぞれに各塾や出版社ならではの特徴やメリットがありますので、まずはぜひ上記の情報を参考に、気になったものを1冊選んでみてください。

それぞれに不足している情報はネット等でも収集できますので心配は無用です。

皆さんが自分に合った一冊に出逢い、中学受験への希望がふくらむことを願っています。

まだ間に合う! 夏の大手入塾テスト2023

目次

1. 「全国統一小学生テスト」で特待生認定も狙える早稲田アカデミー
2. 難易度も高く採点も厳しいサピックス
3. 日能研は夏期講習参加〜入塾という方法も
4. 2人に1人が落ちる四谷大塚の入塾テスト

6月8日、大手中学受験塾SAPIXから『2024年度入試用 中学受験ガイド』が発売されました。

中学受験のために大手進学塾に通い始めるなら、新四年生(小学三年生の2月)からがベストと何度かお伝えしてきましたが、中には、春には入塾の準備が整わず機会を逃してしまった方も多かったようです。



そこで今回は、次の良いタイミングである夏の入塾を目指す方のために、大手進学塾の入塾テスト実施日程や注意点についてお伝えしたいと思います。


1. 「全国統一小学生テスト」で特待生認定も狙える早稲田アカデミー

まず早稲アカの入塾テストですが、毎週土曜日各校舎にて14:00-実施されています。


難易度はそこまで高くなく、基礎的な学力があれば突破し易い試験です。



また、「全国統一小学生テスト」を利用しての合否判定・特待生認定も可能ですし、難易度は高くなりますが、「小4トップレベル模試」も同様に利用できます。



7月1日(土)にはちょうど夏期入塾説明会が予定されており、同日の入室テスト受験も可能ですので、興味のある方はぜひ参加してみてくださいね。



※申し込み締め切り:6月28日(水)
※zoomでのオンライン参加も可。

※都合が合わない場合、平日受験も可。


https://reg.waseda-ac.co.jp/public/application/add/22499?bid4=contents3

2. 難易度も高く採点も厳しいサピックス

次にサピックスですが、7月の入室テストは7月9日(日)に開催されます。(夏期入室テスト)


ただしそちらの日程は1〜四年生のみ対象のため、5.6年生で入室・転塾を希望されている場合は7月2日(日)のテストを受験しましょう。



入室基準点は学年やテストにより異なり事前に提示はされませんが、テスト内容の難易度が高いため、40〜45%以上正答出来れば合格と考えて良いでしょう(例年の合格最低点データより)

。

採点が厳しい点に特徴があり、
公式ページでも
・文字をはっきり濃く書く
・漢字のトメ・ハネ・ハライに注意して書く
・文字は枠内に大きく・丁寧にはみ出さないように書く
ように指示があります。


普段から丁寧な答案を心がけておきましょう。



※申し込み締め切り:テスト前日の午後3時


https://www.sapientica.com/application/entrance/

3. 日能研は夏期講習参加〜入塾という方法も

そして日能研ですが、日能研の入塾テストは「日能研全国テスト」というものです。


7月は開催がなく、6月は6月18日(日)と25日(日)に開催されます。



また、夏の入塾ルートとしてはその他に、夏期講習に参加しそから入塾するという裏技があります。


夏期講習は誰でも参加が可能で、最終日に試験があり、そのテストの結果次第でそのままクラスに入室が可能です。



サピックスなどと比較すると難易度は低いですが、それでもまだ今は合格する自信がない、タイミングが合わない等という場合はそちらも検討してみてくださいね。



ちなみに合格基準は6割程度の得点率で、補欠扱いもあるのが特徴です。


※申し込み締め切り:18日分は受付終了。25日分に関してはインターネットによる申し込みは6月23日(金)20:00まで、各教室窓口への電話による申し込みは6月24日(土)18:00まで

※都合が合わない場合は別日程で個別対応が可能(ただし有料になるので注意)

https://www.nichinoken.co.jp/event/free/apply/ 


4. 2人に1人が落ちる四谷大塚の入塾テスト

最後に、四谷大塚も見てみましょう。


四谷大塚の入塾テストは基本的に毎週土日に実施されています。


ただし校舎ごとに開催日程が違うので、申し込みページで最寄りの校舎を選択し、リストの中から都合の合う日程を選択して受験しましょう。



合格率は50%で2人に1人は不合格となります。


しかし合格するまで何度でもチャレンジ出来、そのためのフォローも行っているのが特徴です。



ちなみに6月・11月実施の「全国統一小学生テスト」も入塾テストを兼ねています。(基本偏差値50以上であれば入塾資格審査合格となります)


テストの難易度は回ごとに異なりますが、日能研よりは高く、サピックスとは同等〜やや易しい程度も考えてください。


https://www.yotsuyaotsuka.com/lform/nyujuku_test/input 






以上、今回は今月末〜7月までに受験可能な各大手塾の入塾テスト情報と注意点お伝えしました。




入塾テストで問われる内容は小学校の勉強とは大きく異なります。
1〜3年生はこちらも参考に、万全の準備で臨んでくださいね。


中学受験 入塾テストで上位クラスに入るスタートダッシュ[算数]


中学受験 入塾テストで上位クラスに入るスタートダッシュ[国語]

児童手当拡充決定 〜中学受験にまつわるお金の話〜

目次

1. 児童手当は今後どうなるか
2. 中学受験までにかかる費用は
3. 合格後にかかる費用も見通そう

1. 児童手当は今後どうなるか

5月25日、政府から「次元の異なる少子化対策」の柱と位置づける児童手当について、今後は支給対象を拡大し、これまでの中学生までから、高校生まで1人あたり月額1万円を支給するという方針が発表されました。

支給額についても、これまで3歳〜中学生は月額1万円でしたが、今後3歳〜小学生については、第3子以降の場合月額3万円に倍増する方向です。
※
(※現行は第三子以降の場合3歳〜小学生が1万5千円、中学生は1万円)




教育や育児の出費がかさむ子育て世帯、特に中学受験を考えているご家庭においては非常に気になるニュースですよね。



また、現行では年収1200万円以上の場合は支給対象外ですが(夫婦の一方が年収960万円以上などの場合は子供1人につき5千円給付)、「家庭環境にかかわらず子育てを支援すべき」という意見を踏まえ、所得制限も撤廃の方向で調整が行われているということです。



政府がこのような児童手当拡充を進めているのは、急速に進む少子化の主な原因が子育て世帯の経済的負担の大きさにあると考えているからです。


財源確保のため2026年度以降から社会保険料の大幅な上乗せも予測されており実際どれほど家庭の負担が軽減されるものか疑問は残りますが、国民給与が30年上がらない中で物価や光熱費は加速的に高騰する一方ですから、国を挙げての子育て支援はとにかく早急に、あらゆる面で拡充させていって欲しいものですね。




■児童手当制度(現行)
●支給対象:中学生までの児童を養育している方(所得制限あり)

●支給額:
・3歳未満:一律15,000円
・3歳以上小学生まで:10,000円(第3子以降は15,000円)
・中学生:一律10,000円

●支給時期:年3回に分けて給付(6月、10月、2月)



■児童手当制度(来年度より実施予定)
●支給対象:高校生までの児童を養育している方(所得制限撤廃の方向で調整中)

●支給額:
・3歳未満:一律15,000円
・3歳以上小学生まで:10,000円(第3子以降は30,000円)
・中学生:一律10,000円

●支給時期:現行通り予定


2. 中学受験までにかかる費用は

ここで、中学受験を目指すご家庭では実際にどれくらいの費用が必要で、合格後(中学校)はどれくらいお金がかかるのかみてみましょう。




■中学受験にまつわる費用(4~6年生の3年間)



4・5年生:約100〜150万円

6年生:約100万円



内訳:
4年月謝3万円程度
5年月謝4万円程度
6年月謝5~6万円程度

上記が基本的な授業料で、その他に講習や特別講座(夏期講習・冬期講習・春期講習・GW特訓・志望校別特訓など)、模試や教材代(年間10〜30万円)がかかります。


人によっては通塾に意外と交通費がかかる場合もありますし、高学年では大手塾に加え、学校対策や追い込みで家庭教師や個別指導を利用することも多くなるため、トータルでは約200〜300万円が中学受験にかかる費用の相場と言われています。

3. 合格後にかかる費用も見通そう

次に、合格後の教育資金です。
合格後の進学先が私立とは限りませんが、たとえば公立と私立で支出状況を比較した場合、



中学校:2.8倍
高校:2.3倍


というデータが出ています。
(出典:文部科学相「子どもの学習費調査」)



また、私立では制服や教材、交通費、修学旅行費用が大きくなりがちですし、私立でなくとも部活、合宿などのイベントにおけるによる出費も意外とかさむものです。


場合によっては、大学受験のための通塾、スマホ購入・使用代金、留学などの経費が必要になることもありますね。





お子さんご本人の意思やその時の状況により選択肢は当然変化するものですが、教育資金をどう捻出するのか(貯蓄、学資保険、運用益非課税の「ジュニアNISA」、積立投資、祖父母による非課税の教育資金援助制度の利用など)は早めに見通しを立てておくと安心ですね。

そしてそれ以上に「何に重きを置いて我が子の進学先を考えて行くか」ということを、ぜひ一度、じっくりご家族で話し合ってみてください。

皆さんが笑顔で、それぞれのご家庭にとってより良い選択ができることを願っています。

相次ぐ中高一貫校「高校募集停止」で考える

目次

1. 2023年5月 新たに2校が高校募集停止を発表
2. 完全中高一貫化はさらに加速の傾向
3. 高校募集を停止する学校が増えている理由
4. 中高一貫教育のメリットとデメリットを考慮して判断を

一気に気温が上がり、日差しも強くなりましたね。

季節の変わり目ですが、受験生の皆さんは元気にやっていますか?

1. 2023年5月 新たに2校が高校募集停止を発表

さて、2023年5月11日、新たに高校募集停止を発表した学校が2つありました。


まずは1891年に榎本武揚(政治家)が設立し、2023年の大学入試では国公立・早慶上理・MARCHに551名(既卒生含め)の合格者を輩出した東京農業大学第一高校。



外部募集は2024年度入試が最後で、2025年度から完全中高一貫校化がスタートします。

※6月13日に入試の新制度や新校舎、新たな学習環境等について説明会実施予定。


説明会終了後に校内や授業の見学が可能。(対象は塾や教育関係者)




もう一つが奈良市にある東大寺学園中・高等学校。


関西では知られた進学校であり、もとは1926年に勤労青少年のための夜間学校から始まった私立男子高校です。


2023年度大学入試では東京大学に18人、京都大学に64人の合格者を輩出しています。



こちらは早くも2024年度から新制度が適用されますが、その分2021年度から中学校の募集定員を(それまでの176名から200人に)増員しており、来年度もその予定が発表されています。


2. 完全中高一貫化はさらに加速の傾向

このように、以前からお伝えしているように2015年頃から始まった中高一貫校における「高校募集停止」「完全中高一貫校」化は、近年さらに加速しています。



私立では高輪を皮切りに、海城、浦和明の星女子、成城、近年話題になったところでは本郷高校、豊島岡女子学園開智日本橋学園、東邦大学附属東邦、三田国際学園などがあり、ついには都内全ての公立中高一貫校でも完全一貫校化が決定しました。
(※豊島岡は2022年から新制度がスタートしていますが同年、翌年共それに伴う中学の募集人数枠増加は無く、2024年度もその予定は発表されていません。)





このような状況が「高校受験では選択肢が狭まってしまうのでは」という危機感につながり、受験のタイミングを検討し直すご家庭も増えているようですが、そもそも近年中高一貫校の「高校募集停止」「完全中高一貫校」化が加速的に進んでいる背景には何があるのでしょうか。

3. 高校募集を停止する学校が増えている理由

①徹底した教育目標の実現
教育目標の実現には6年という時間をかけてより丁寧に学びを深め、育むシステムがふさわしい、教育の質をより向上させたいという判断から。
(活発な部活動をサポートしたいという意見も)


個性的な教育理念を持つ学校の場合、理想の人格形成や教育理念の実現には(受験勉強も重なる)高校3年間のみでは厳しい現実があったのかもしれません。




②新学習指導要領の影響
「新学習指導要領」により「歴史総合」「理数探究」「情報」などの新科目が導入されたことは大きな要因の一つだと考えられます。


中高一貫校では多くの場合6年間の学習内容を5年間程度で終わらせるカリキュラムになっていることが多いため、高校から外部入学してくる生徒たちと内部進学生では授業進度が異なり、講師は2パターン以上のカリキュラムや習熟度別クラスを用意しています。



教育現場では講師の過剰労働が問題視されて久しいですが、すでに無理があるところに、これらの科目が一気に新設・導入される現場での負担は計り知れません。


これを軽減するために高校からの外部入学を停止しようという流れが生まれるのは自然なことですね。


また、新学習指導要領に対応するため、完全中高一貫校化と同時に独自の科目を新設する学校もあります。

③大学入試改革の影響
大学入学共通テストではこれまでの全マーク式から記述式が検討され、国公立、私学入試においても全体的に思考力や表現力がこれまで以上に重視されるようになりました。



AO、小論、グループ面接などを使用した入試、推薦入試もより一般的になり、これらの対策としては留学なども含めた様々な経験から得られる幅広い知識や視野、自由な発想・思考力、表現力が有効とされているため、中高一貫の6年間をどのように使うか、いかにそのような探求学習に充てる時間を捻出できるかも勝敗を分けるカギになるわけです。




新たな大学入試の形に対応するために完全な6年一貫教育に舵を切った学校は少なくないでしょう。

実際に、この決断による成果(難関大学合格者数の伸び)が少しずつ出始めている学校もみられます。



4. 中高一貫教育のメリットとデメリットを考慮して判断を

こうしてみると中高一貫校のメリットは多いようですが、もちろんそれだけが選択肢ではありません。



海城中学のように、完全中高一貫校化に伴い学校理念の一つでもある多様性が狭まるリスクを回避するため、中学入試に帰国生枠を新設するなど対策を行っている学校もありますが、多様性(ダイバーシティー)の時代だからこそ、あえて同じような理想を目指した似たタイプの生徒が集まる中高一貫校ではなく、さまざまな背景や個性を持った生徒が集まる公立中学で過ごさせようという考えもあります。




また、お子さんの現在の精神年齢を鑑みて、もしくは中学受験後の燃え尽き症候群のような状態で中学時代を過ごして欲しくない、高校受験が控えていないことで気を緩めてダラダラ過ごしてほしくないなどという理由で、あえて中学受験を選ばず、初めから公立進学を考えるご家庭もあります。





最適な選択肢は各ご家庭、お子さん一人一人によって全く異なるでしょう。


受験にまつわる噂話や掲示板、ママ友の意見等に流されることなく、ぜひご家庭の方針やお子さんの性格や精神年齢、適性を十分に鑑みた上で、ご本人の気持ちを大切にしながら、ご家族でよく話し合ってみてください。



中高一貫校の相次ぐ「高校募集停止」を受け、皆さんが中学受験をするにしろしないにしろ、お子さん自身の感覚、考えを大切に、納得の行く進路を見出せることを願っています。